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訪日オーストラリア人観光客のインバウンドデータまとめ

By SCP編集部 in インバウンド/アウトバウンドデータ

近年、日本のインバウンド市場は大きな盛り上がりを見せています。中国・韓国・台湾等のアジア圏からの旅行客が目立つ一方、オーストラリアからの旅行者も年々増えてきているのをご存知ですか?さらにインバウンド市場にとっては嬉しいことに、一人あたりの旅行予算は中国に次いで2番目に多い旅行者なのです。

そんな、インバウンドのターゲットとしてはかなりの優良物件とも言えるオーストラリア人はいったいどんな旅行をしているのでしょうか。

彼らの海外旅行事情データを踏まえ、訪日旅行の現状を紐解いた結果、今後のインバウンド対策におけるポイントが見えてきました。

(オーストラリアの基本情報についてはこちら!⇒「オーストラリアってどんな国? 基本情報をまとめました」)

 

 

目次

オーストラリア人の海外旅行事情

 

オーストラリア人の海外旅行者数推移

(参照元:Tourism Research Australia (TRA) )

オーストラリア人の海外旅行者数はここ10年間で毎年増加しています。2008年のリーマンショックの翌年は多少鈍化したものの、増加の勢いは衰えていません。彼らの旅行熱は年々ヒートアップしていると言えます。

2017年のオーストラリアの人口が約2,470万人なので、実に3人に1人が海外旅行していることになります。

 

オーストラリアの海外旅行支出額

(参照元:日本政府観光局JNTO  統計データ)

2016年のオーストラリア人旅行者の海外旅行支出額(旅行先の国へ支払う消費額)は249億米ドル、日本円でおよそ2兆7000万円 *となっています。上記の推移グラフから2014年以降その額は減少傾向にあったものの、2016年に少々回復を見せた模様です。

UNTWO 世界観光機関が出している旅行支出ランキングでは、2014年~2016年においてオーストラリアは毎年9位にランクインしており、旅行需要が高い国と言えます。

*1米ドル=109円で算出。
※本数値に国際旅客運賃は含まれない。

 

オーストラリア人一人あたりの海外旅行消費額

(日本政府観光局JNTO  統計データより作成)

オーストラリア人一人当たりの消費額は、2016年時点で27万3323円となりました。海外旅行者数は増加する一方で、個人消費額は減少傾向という結果に。旅行者数の増加はオーストラリアの長年の人口増加も寄与しているものの、それは同時に移民が増えてきていることも意味しており、旅行にあまりお金をかけない層が増えてきていることが推測されます。

 

オーストラリア人は何月に海外旅行へ行っているのか?

(参照元:The Australian Federation of Travel Agents)

年間を通じて毎月一定数の人が海外へ出かけているようですが、中でも1月、6月、10月に行く人が多いことが分かります。

全般的に、オーストラリアのスクールホリデーが大きく関係しています。(スクールホリデーの詳しい情報についてはこちら⇒「オーストラリアにおける長期のスクールホリデー制度と旅行の関連性」)。オーストラリアでは子どもを旅行に連れて行き、新しい場所や体験に触れさせることは教育の一環と考えている人が多く、スクールホリデーにさらに休暇をくっ付けて長期休暇を取り、国外で長期滞在をする傾向があります。

各渡航月に関する考察

  • 1月 オーストラリアの夏休み期間に当たる。クリスマスから長期で旅行するオーストラリア人が非常に多い。
  • 6月 南半球の冬の始まり。ウィンタースポーツをしに行く人、北半球の夏に合わせて旅行へ出かける人が多くなる。
  • 10月 冬が終わり、暖かくなってくるに従い、スクールホリデーに合わせて旅行へ。

 

オーストラリア人の人気海外旅行先ランキング:訪日旅行の競合はどこか?

2017年 オーストラリア人の海外旅行先ランキング

  国名
旅行者数(人)
1位 インドネシア 889,964
2位 アメリカ 578,012
3位 ニュージーランド 577,321
4位 タイ 384,050
5位 日本 257,354
6位 フィジー 219,364
7位 イギリス 216,057
8位 シンガポール 176,444

(参照元:Tourism Research Australia (TRA) )

上位国への旅行者数と大きく開きがあるものの、日本は5位につけており、人気の旅行先の一つと言えそうです。お隣のニュージーランドに始まり、アメリカ・イギリスと英語圏への渡航が多いことと、インドネシア・タイ等の東南アジア圏が渡航先として人気であることが分かります。

また、ヨーロッパ諸国への渡航者総数は801,847人という結果が出ていますが、国単体で見ると東南アジア圏やアメリカなどの方面に行く渡航者数が上回っており、比較的オーストラリアから近い渡航先への人気の高さが窺えます。

※TRAによる2017年の調査で、旅行者が渡航目的を「Holiday」「Visiting friends and relatives, business and other」のいずれかを選択したデータより、「Holiday」と回答した総数を記載。

 

オーストラリア人旅行者の年齢別データ

(参照元:Australian Breau of Statistics

海外旅行に出かけるオーストラリア人の年齢層で一番多いのが25歳~34歳、次いで45歳~54歳、35~44歳と、中高年層がボリュームゾーンという結果が出ています。中高年は若年層と比較して経済的に余裕があるので、彼らにはまるサービス拡充はインバウンド対策において有効に働くでしょう。

 

海外旅行における滞在期間

(参照元:Australian Breau of Statistics

多くが「1ヶ月未満」ですが、1ヶ月以上滞在する人が旅行者全体のうち約2割もいるのが特徴です。オーストラリアでは比較的長い休暇を取って海外旅行に行くのが一般的で、長期的な滞在に比例して旅行中の支出も多くなることから、各国におけるインバウンド市場に大きく影響を与えていることが考えられます。

 

オーストラリア人の海外旅行事情まとめ

  • 伸び続ける海外旅行者数に相反して一人あたりの支出額は減少傾向。
  • 中高年がボリュームゾーン。
  • スクールホリデーと季節の変わり目に旅行に行く人多数。

 

 

訪日オーストラリア人のインバウンドデータ

 

オーストラリア人は日本に何人来ている?

(日本政府観光局JNTO 統計データ 単位:人)

2008年から2017年の過去10年間の訪日オーストラリア人推移を見てみましょう。2011年は東日本大震災があり、前年に比べて訪日者数が減少しているものの、2012年以降から訪日者数は増加し続けています。2008年と2017年を比べると訪日者数が約2倍にも増えていることから、今後も更に訪日オーストラリア人の数が増えることが期待されます。

 

訪日オーストラリア人のインバウンド消費額推移

(出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査 )

訪日数の増加に比例して消費額も増加しています。オーストラリア人のインバウンド市場は年々拡大してきていると言えます。

 

訪日オーストラリア人一人あたりのインバウンド消費額推移

(出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査  ※2018年1月は暫定値、同年2~3月は推計値を使用。)

インバウンド市場における一人当たりの消費額は、2017年にいったん減少したものの、2018年1-3月期では2016年を上回る結果に。
全体的に2016年以降は減少傾向にある中で、安定的に全体平均額の約1.5倍の金額を使っているオーストラリア人は、インバウンド対策次第でリターンを大きく得られるターゲットと言えます。

 

月別訪日オーストラリア人

(日本政府観光局JNTO 統計データ)

12月~1月の訪日数が突出して多いです。この時期はオーストラリアの夏季休暇期間にあたり、日本にスキー・スノーボードに来るオーストラリア人が多いことが理由として挙げられます。オーストラリア人のインバウンドを考える上で、この期間での招致を引き続き重点的に行う一方、その他の時期についても工夫次第では新たなインバウンドプロモーション戦略に繋がる可能性があります。

4月は欧米諸国同様、イースター休暇が春季の訪日に繋がった可能性が高いです。

 

オーストラリア人の訪問先 ー 都道府県ランキング

順位 都道府県 宿泊者数(人) 順位 都道府県 宿泊者数(人)
1位 東京 580,850 26位 岩手 3,510
2位 京都 224,070 27位 群馬 3,290
3位 大阪 171,270 28位 青森 2,820
4位 北海道 136,610 29位 香川 2,670
5位 長野 82,630 30位 宮城 2,330
6位 千葉 82,220 31位 福島 2,280
7位 広島 70,470 32位 埼玉 2,090
8位 神奈川 41,320 33位 山形 2,050
9位 岐阜 27,100 34位 大分 1,780
10位 石川 17,640 35位 愛媛 1,680
11位 福岡 15,700 36位 富山 1,620
12位 山梨 14,690 37位 秋田 1,410
13位 愛知 14,190 38位 茨城 1,400
14位 兵庫 13,370 39位 徳島 1,200
15位 新潟 12,040 40位 佐賀 1,120
16位 沖縄 10,920 41位 三重 830
17位 静岡 6,970 42位 高知 820
18位 和歌山 5,880 43位 島根 800
19位 滋賀 5,800 44位 山口 750
20位 岡山 5,140 45位 宮崎 740
21位 長崎 5,100 46位 福井 500
22位 奈良 4,590 47位 鳥取 460
23位 栃木 4,560
24位 鹿児島 3,830
25位 熊本 3,540

(出典:日本政府観光局JNTO 統計データ)

2016年にJNTOが行った調査によると、東京・京都・大阪の3県に続き、北海道・長野などのスキー場が豊富な県が上位にランクインしています。東京の宿泊者数構成比率は36.4%、京都は14%と主要都市での宿泊比率は高い一方で、訪日期間中に各地方へ足を延ばし宿泊するオーストラリア人もいるので、主要都市からどのようにオーストラリア人を誘致するかが各地方でのインバウンド戦略の課題と言えます。

※各県、従業員10名以上の宿泊施設からの回答収集による調査データ。

 

年齢・性別構成比

(出典:日本政府観光局JNTO 統計データ)

全ての年代で男性の訪日者割合が女性訪日者割合を上回っています。

年代別でみると、訪日オーストラリア人旅行者のうち、一番多いのが20代で男女計39.6%、次が30代で19.4%と、若年層が多くを占めています。現時点で、海外旅行先としての日本のニーズは若者にあり、と言えます。

ただ、既述のとおり海外旅行に出かけるオーストラリア人全体では40代以上が約4割とかなりの割合を占めているので(1.6  オーストラリア人旅行者の年齢別データ)、中高年層にどうアプローチし、誘致できるかが、今後の訪日オーストラリア人数を伸ばすうえで鍵となるでしょう。

 

訪日オーストラリア人は誰と来ているのか?

(出典:日本政府観光局JNTO 統計データ)

「夫婦・パートナー」が一番多く、ペアで訪れています。次いで「家族・親族」が全体の2割強を占めていますが、「友人」、「自分ひとり」も2割とどのタイプも満遍なく訪日しているので、各市場でアプローチしやすいターゲット層を特定し、特定のターゲットへの一極集中を防ぐことが効率的なインバウンド戦略に繋がるでしょう。

※結果は複数回答を含んでいる。

 

訪日オーストラリア人の滞在日数

(出典:日本政府観光局JNTO 統計データ)

全国籍と比較すると圧倒的に長く滞在していることが分かります。既述ですが、オーストラリアでは長期休暇を取って海外旅行に出かけるのがとても一般的なので、訪日旅行においても1週間~3週間の間、長期滞在しているようです。長期間の滞在で一定した消費が生じることから、オーストラリア人をインバウンドターゲットにすることで大きなリターンが期待できます。

ⅶ. オーストラリア人全体の海外旅行における滞在期間

 

訪日オーストラリア人は初訪日・リピーターどちらが多い?

(出典:日本政府観光局JNTO 統計データ)

半数以上が「初めて」と回答しています。リピーター率はそれほど高いわけではないと同時に、近年の訪日オーストラリア人増加による結果ともとれます。一方で2018年3月に観光庁が発表した情報では、訪日客の61.4%がリピーターというデータが出ており、対オーストラリア人へのインバウンド戦略においては、新規での訪日客獲得だけでなく、滞在中の満足度を上げ、もう一度訪れたくなる取り組みも視野に入れた対策が必要であると言えるでしょう。

 

訪日オーストラリア人は個別旅行とツアーどちらが多い?

(出典:日本政府観光局JNTO 統計データ)

訪日オーストラリア人の旅行形態ですが、個人手配が圧倒的です。旅行先の選択や旅程は自ら情報収集し決定しているとも言え、インバウンド市場においては一般客にリーチする戦略が必要です。

 

訪日オーストラリア人の情報収集元とは?

(出典:日本政府観光局JNTO 統計データ)

個人での旅行が多いオーストラリア人のおもな情報収集源は口コミサイトがトップ、次いで親族や知人からの口コミと、一般人目線での評判を参考にしています。一方で宿泊施設HPや旅行ガイドブック、旅行会社HP等も全体のうち2~3割は見ているので、各メディアを活用するのも有効でしょう。全体的にインターネットを多く活用していることが伺え、デジタルメディアでのPRは不可欠です。

※複数回答を含む。

 

旅行支出内訳:訪日オーストラリア人は何にお金を使っているのか?

(出典: 観光庁 訪日外国人消費動向調査 H29 )

滞在期間が長いことが影響していますが、全体の支出額のうち4割を宿泊料金に割いています。観光庁の調査によると、宿泊費にお金をかけるのが欧米諸国(イギリス、フランス、イタリア、ドイツ等)、買い物代にお金をかけるのがアジア圏(中国、ベトナム、台湾、タイ等)といった結果となっています。
また、訪日した全国籍の各支出で「娯楽・サービス費」項目で一番お金を使っているのがオーストラリア人モノより体験にお金をかける傾向にあると言えます。

 

人気の買い物場所は?

(出典:日本政府観光局JNTO 統計データ)

日本全国どこでもあるコンビニエンスストアを利用するのは訪日オーストラリア人も同じのようです。大きな買い物をする先は百貨店・デパートと想定されます。

※複数回答含む。

オーストラリア人が訪日旅行に求めることとは?

(出典:日本政府観光局JNTO 統計データ)

上記は「訪日前に日本への旅行で何を期待していたか」、訪日オーストラリア人に対して行った聞き取り調査の回答結果です。日本食への興味・期待値は高いようです。続いて自然や景勝地観光が2位に来ており、都市に留まらず、各地方へ美しい自然や景観を求めて足を運ぶことが予想される回答です。3位のショッピングを抑えてのランクインとの結果で、オーストラリア人は体験消費型の観光客と言えるでしょう。

※複数回答含む。

オーストラリア人の訪日事情まとめ

  • 長期滞在、かつ堅調な支出。
  • 20代の若者多数。
  • インターネットの口コミから情報収集。
  • モノより体験を求める傾向。
  • 自然・景観を求める人が多く、都市圏だけなく、地方にも足を運ぶ

 

オーストラリア人のインバウンド戦略まとめ

以上のオーストラリア人の海外旅行事情と、現在の訪日旅行事情を比較して言えることは…

 

  • 一人あたりの消費額はまだ伸びる余地あり: 海外旅行支出全体27万3323円⇔訪日旅行24万4866円。(2016年)
  • 新規訪日客を増やすと同時にリピーターを増やす取り組みも必要。
  • 日本らしさ、日本でしかできない体験ができることによりフォーカスしたPRを。
  • デジタルでのインバウンド対策は必須。一般旅行者やインフルエンサーを経由した情報発信はさらに有効。
  • 中高年層をターゲットに据えたアプローチ強化で新しい客層の開拓⇒更なる訪日者数増加の可能性大。
  • 東京・京都等のゴールデンルートにはない体験や自然、景観をアピールすることで、地方にも勝機あり

 


* 参照元リンク:日本政府観光局 JNTO  「訪日旅行データハンドブック 2017

 

この記事を書いた人:渡邉 玖実(わたなべ くみ)
福島県出身。大学在学中の米国への留学や世界各国へ旅した経験から、卒業後は総合商社へ就職。その後、PR業界へキャリアチェンジ。主に広報・PRに役立つ記事の執筆に励む。現在はシドニーのオーストラリア人宅でホームステイをしながら、オーストラリアライフを満喫中。趣味はトレッキング、キャンプ、海外旅行。

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