2月5日(水)、関西観光本部は、関西エアポートと関西の鉄道各社と連携し、日本観光局(JNTO)の協力のもと、「関西観光セミナー2020」をシドニー市内で催した。主催団体のほかに関西地方周辺の自治体や観光関連企業等の計17団体がブース出展。2021年に開催されるワールドマスターズゲームズ関西2021や2025年の大阪・関西万博などの国際イベントを控え、世界中から関西の注目度が高まることでさらなるインバウンド促進が期待されるなか、関西旅行の魅力を訴求するために参加団体は旅行・メディア関係者と活発なネットワーキングを展開した。
商談会に先立って行われたセミナーではまず、主催者を代表して、関西エアポート株式会社の大久保江里子氏が登壇。2017年、カンタス航空のシドニー-関西国際空港線開設をきっかけに、関西国際空港のオーストラリア人入国者数が約50%も増加したことに触れ、さらに多くのオーストラリア人集客を目指したいと今後の展望を語った。またセミナーを通して関西エリアにはまだまだ知られざる魅力が豊富だということを知ってほしいと出席者に訴えた。
つづいての紀谷昌彦シドニー総領事があいさつに立ち、東京オリンピック・パラリンピックにつづき、ワールドマスターズゲームズも催されることからスポーツ大国であるオーストラリアからも関西地方へ高い関心が寄せられると強調。この絶好の機会を活かし、オーストラリア人誘客に結びつけて欲しいと願いをこめた。また、現在も森林火災被害が拡大しているオーストラリアにとってツーリズムの活性化は再生への第一歩になると、関西からの出展者へ日本に帰国したあかつきにはオーストラリアの魅力も広めてほしいとも訴えた。
JNTOシドニー事務所の田中麻里香次長は、2019年のオーストラリア人訪日客数が62万に達したことに触れ、過去最高数を記録することができたのは訪日旅行にたずさわる全員の協力のおかげだと感謝の意を示した。また、2020年は観光大国日本へ躍進するために非常に大切な1年になると明言。今年限定の特別プログラム「Your Japan 2020」キャンペーンを通して、日本をただ「デスティネーション」として紹介するのではなく、全国各所で特別な体験ができる場所として訪日インバウンドを盛り上げていきたいと述べた。
またゲストスピーカーとしてバイリンガルストーリーテラーのジャロッド・ホー氏が登壇し、関西で落語と狂言の世界に数年間身を置いた経験を基に、各地域の観光スポットや食文化を写真とともに紹介。特に関西エリアは交通網が発達しており、各地間を30分から1時間半程度で移動できることに言及しながら、多くのオーストラリア人が訪日外国人旅行者向けの関西統一交通パス「KANSAI ONE PASS」を利用して様々な場所に足を伸ばしてほしいと呼びかけた。その後、簡単な関西弁講座を披露、イントネーションまでもマスターしようと出席者は何度も関西特有のフレーズを口ずさみ、その後の落語紹介動画ではオーストラリア英語と関西弁を巧みにあやつる同氏の姿に会場は沸き、場内の熱気は最高潮に達した。また、終盤にはSBSの平林純子氏によって日本舞踊が披露され、そのしなやかな美しさと息をのむ迫力に出席者は魅了された。
商談会では参加団体が出席者と熱のこもったネットワーキングを展開し、会場は大盛況。来場者が各テーブルをまわり、「他のエリアには魅力はなにか」や「どのシーズンに訪れたらベストなのか」などの具体的な質問も飛び交い、出展者は自分達の地域の特色を熱弁し、関西地方誘客に励んだ。
今後の国際競技大会・国際博覧会開催のチャンスを生かしてオーストラリア人に知られざる魅力を知ってほしいと出展者がこのセミナー・商談会に懸ける思いを強く感じることができたイベントであった。
取材・文:臼井 佑季
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