各国が国境の閉鎖や外出制限などコロナの感染拡大抑制に取り組んでいる中、昨年12月にイギリスやアメリカを皮切りに始まったコロナのワクチン接種が世界中で進められてる。しかし、収束の兆候は依然として見られず、アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学の集計によると、1月27日、世界全体のコロナの感染者は1億人にのぼったことに加え、各地でコロナのウイルス変異種も確認されている。このコロナのウイルス変異種は従来型と比べ、感染力だけでなく死亡率も高い可能性があり、さらに感染経路が不明なケースが多いという。
オーストラリアでも12月末にコロナの変異種ウイルスが国内で検出されたことを受け、一部地域を対象にロックダウンを施行。国境閉鎖措置は継続しているが、新たな措置の一環として、2月中旬まで海外からの帰国者上限枠を約5割減まで引き下げたことで、オーストラリア市民や永住権保有者の帰国便確保が困難になることが懸念されている。また、2月下旬にはオーストラリアでもコロナのワクチン接種が開始される予定だが、オーストラリア政府は1月18日、国民の大半にワクチン接種が完了したとしても、2021年中に国境を完全開放する可能性は低いと言及している。
オーストラリアのコロナ現状
12月下旬にニューサウスウェールズ州シドニーの北部海岸(ノーザンビーチ)地域でコロナの集団感染が発生、そして今年1月にはイギリスの変異種ウイルスの市中感染が確認されたが、1月27日、オーストラリア政府は、10日間にわたって、コロナの市中感染が報告されていないため、コロナの封じ込めに成功しているとの見解を示した。そのため、オーストラリアの最大都市シドニーがあるニューサウスウェールズ州では、1月29日から屋内でのマスク着用などコロナ関連規制の一部を緩和すると発表した。コロナのワクチン接種に関しても、オーストラリア政府は当初予定であったコロナのワクチン接種開始時期を3月末から2週間早めた2月下旬から配布する意向を示している。
オーストラリアの国境再開について
オーストラリアの国境はニュージーランドのみ部分的に再開しているが、その他の国や地域へ国境が再開放されるには長い時間を要することだろう。世界各地でコロナの変異種ウイルスの感染が拡大していることを受け、オーストラリア政府は2月中旬まで1週間の海外帰国者数をさらに制限をすると発表。そのため、各航空会社はオーストラリアへの路線を減便もしくは停止を検討しているため、海外にいるオーストラリア市民もしくは永住権保有者は国境を越えることができず、海外で足止めされた状態が続くことが懸念される。
オーストラリアの国境開放の動向に大きな影響を与えるとされるコロナのワクチン接種は2月下旬から開始予定だが、1月18日にオーストラリア政府は国内にワクチンが普及したとしても、2021年内に国境封鎖措置を解除できる可能性は低いとの見解を示した。今後も旅行産業に多大な影響を及ぼすことが危惧される。
2020年12月訪日オーストラリア人数
日本政府は11月1日からオーストラリアを上陸拒否および上陸時のPCR検査受診対象指定から一旦解除したが、緊急事態宣言が発令している間は上陸時のPCR検査などが再び必須となった。そのうえ、コロナの感染対策として、14日間の隔離措置、そして査証免除措置適用の停止を講じており、オーストラリア政府も国境を跨ぐ海外渡航禁止措置を継続しているため、2020年12月の訪日オーストラリア人数は200人に留まった(前年同月比99.7%減)。また、オーストラリア国内でコロナの変異種ウイルスが確認されたことを受け、2021年1月末まで同国は検疫強化の対象国となっている。なお、2020年の年間訪日オーストラリア人数は143,600人(前年比76.9%減)であったが、2021年もオーストラリア政府は国境を開放することに、慎重な姿勢を示しているため、国際観光再開は引き続き厳しい状況になると予想される。
JNTOシドニー事務所田中陽子所長
「本年1月7日にオンラインにてインバウンドセミナーを実施いたしました。当日は国内各地から140名以上の方にご参加いただき、オーストラリアにおける現状を中心にお話させていただきました。このような厳しい状況下においても、ご関心をいただけることが大変ありがたく、また心強く感じております。
随時、市場の状況は変化していましたすので、様々な機会を通じて、皆さまにオーストラリアの市場概況などをお伝えし、今後のインバウンド再開に向け、ご参考いただければと思っております。
世界中からみても、オーストラリアはコロナの抑制に成功しているきわめて稀な国だといえます。とはいっても、継続的に感染対策・規制を行っており、州を越えた移動についても、ひとたび感染が確認されると、すぐ州境制限が導入されることから、まだまだ国内旅行も復活しているとは言えません。こうした状況の中、消費者の旅行(国内外)に対する欲求は高まっています。国境を越えた渡航再開までは、まだしばらく時間がかかる事が予想されますが、日本の皆さまにおかれましては、この時期を利用した受け入れ環境の整備や新たなコンテンツの造成などご準備いただければ幸いです。また、JNTOシドニー事務所でお手伝いできることがあれば、遠慮なくお声がけください」
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