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インバウンドを読む#10 QANTAS日本支社長 荻野雅史

By SCP編集部 in インタビュー/インバウンドを読む

2020年、羽田空港の昼間時間帯発着枠が増加、日豪路線には4枠が割り当てられました。日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)へ1枠ずつ配分が事前に確定しており、残り2枠はオーストラリアのカンタス航空が申請していました。競合となっていたのがオーストラリアのLCCヴァージン・オーストラリア・ホールディングス。日本路線にはブリスベン-羽田線での(ANAとの共同運航)参入を狙っており、10月23日にヴァージン・オーストラリアに1枠、そしてカンタス航空にもう1枠の配分が決定しました。カンタス航空は2020年に創立100周年を迎え、12月からシドニー-新千歳の季節便も就航します。現在日豪路線を持つ航空会社では最多の路線数を誇り、不動の地位を確立しているカンタス航空ですが、新しい羽田枠は運航しているシドニー・羽田線を増便し、1日2便運航するのかメルボルン-成田便を移管するかは今後発表する予定です。今回はオーストラリアのナショナルフラッグキャリアであるカンタス航空から日本支社長荻野雅史氏にオーストラリア-日本線の歴史を振り返っていただきました。

2017年はカンタス航空の日本就航70周年でした。これまでを振り返ってみて、オーストラリアと日本を結ぶ航空会社としての役割はどう変化したでしょうか?

日本への初フライトは、1947年12月18日のシドニー発の山口県防府への便でした。運んだのは乗客わずか6名と1200ポンド(約545kg)の郵便物でした。ランカストリアンの機材で、シドニーから27時間21分のフライトでした。以来72年が経過し、飛行時間は大幅に短縮されて利用しやすくなり、当社の機材も変わり、機内はより快適になりましたが、日本は当社のお客様にとって常に人気の高い旅行先だった言えるでしょう。

現在、カンタスグループはオーストラリアー日本で最大の路線数を誇っています。日本着の便は、シドニーー東京(羽田)、シドニーー大阪、メルボルンー東京(成田)、ブリスベンー東京(成田)など週25便運航しています。今年の12月にはシドニーー札幌を新たに季節運航します。日本着の便はすべて、2クラス設定のエアバスA330または3クラス設定のボーイング747を使用しています。

LCCの子会社ジェットスター航空は、オーストラリア発東京(成田)着を週11便運航しています。ケアンズから週6便、ゴールドコーストから週5便です。日本へのご旅行の選択肢として、上質のフルサービスのカンタス航空、予算を押さえたジェットスター航空からお選びいただくことができます。

1960年代は着物でのサービスもあった。

オーストラリア日本路線について思い出深い出来事があれば教えて下さい。

長年の間に、当社の日本路線はさまざまな変遷をたどってきました。運航開始からの3年間は郵便物とオーストラリア空軍向けの旅客サービスを提供しました。1950年までには、民間人対象のフライトが就航し、東京ーシドニー間も週2便運航しました。1978年には、新東京国際空港のオープンに伴い、日本拠点を羽田から成田に移しました。

1993年にはオーストラリアの自然の色を表現した先住民の機体デザインによる747「ウナラ・ドリーミング号」を導入しました。この機体は1994年のシドニー発大阪着の初フライトでも使われました。当時、当社の大阪(関西)発シドニー行きは、ブリスベン経由で運航していました。

1990年代初頭には、オーストラリアから仙台、新潟、秋田、青森、福島、広島、岡山といった地方都市にチャーター便を運航していました。2015年にはシドニーー羽田線を再開、成田ーブリスベン線も就航、続く2016年には成田ーメルボルン線が就航しました。

そして2017年にはオーストラリアー日本路線就航70周年を迎えました。同時に、シドニーー大阪(関西)線の直行便での通年運航を再開しました。

今年は新たにシドニーー札幌便の季節運航を開始します。スキーで日本に旅行したいというオーストラリアのお客様が増えており、このたびの就航で北海道の人気スキーリゾートへのアクセスが非常に便利になりますので、お客様に喜んでいただけるものと考えています。

ナランジ・ドリーミング号(手前)ウナラ・ドリーミング号(奥)

オーストラリアの人々や市場特徴について、お考えをお聞かせください。

オーストラリア人の日本滞在期間は長めの傾向があり、通常2、3週間程度となっています。一方、一般的な日本人観光客のオーストラリア滞在期間は5~7日です。日本人はビジネス、観光、教育といった理由でオーストラリアを訪れ、オーストラリアの食事やワイン、遺産、また日本とは異なるオージーのライフスタイルを楽しまれているようです。

訪日オーストラリア人の数は昨年55万人に達しました。インバウンドツーリズムの現状についてどう分析されますか?

過去5年間で訪日オーストラリア人の数は2倍以上に増加し、ここ12カ月だけでも50万人以上が日本を訪れています。2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック大会が迫っていますが、これらの大会はオーストラリア人の間で非常に人気が高く、今後数年間もインバウンドツーリズムは衰えることなく成長すると見ています。この需要の拡大に対応して、この2年間で2路線に新たに就航し路線を拡張しています。大阪は通年の就航となり、札幌も季節就航します。お客様の需要を見ながらこれからも検討してまいります。

 カンタス航空は来年100周年を迎えます。これまでオーストラリア人の旅行観はどう変化してきましたか?そのような変化にカンタス航空ではどのように対応してきましたか?

オーストラリアは他のほとんどの国から距離が離れているため、オーストラリア人は長距離の旅行には非常に慣れています。オーストラリア人は旅行好きで、何時間ものフライトにも慣れています。日本はオーストラリアの東海岸から約9~10時間程度ですが、オーストラリア人にとってはそれほど遠い距離ではなく、現在にいたるまで人気の高い旅行先となっています。

カンタス航空は現在まで運航を続けている世界で最も歴史の古い航空会社であり、航空業界の革新をリードしてきました。1979年には世界で初めてビジネスクラスを導入しました。10年後の1989年にはボーイング747をロンドンからシドニーまでをわずか20時間、ノンストップで飛行し、民間航空会社として飛行距離の世界記録を樹立しました。2018年には歴史的なパースーロンドン路線の就航により、ヨーロッパを結ぶ直行便を世界で初めて運航しました。

日本路線でもカンタス航空は長年にわたり存在感を示しており、革新を続け、お客様の利便性や快適性の向上を強化してきました。最近では、2019年9月1日にオーストラリアー日本間のフライトのビジネスクラスで新たな和食メニューの提供を開始しました。この機内食サービスは、弁当、メインディッシュ、お味噌汁、ご飯、デザートが含まれており、特注のノリタケ製の和風食器で提供されます。この新メニューはお客様のご要望に応えて日本路線向けに特別に開発したものです。

ボーイング747のロールアウト時

 日本を訪れるオーストラリアのお客様が増えており、他の航空会社も増便しています。オーストラリアと日本を結ぶ路線に注目が集まる中、カンタス航空ならではの日本路線の特徴は何でしょうか?

両国間の旅行者数は、この10年間で、オーストラリア人とインバウンド観光客比率のバランスが取れ、半々となってきています。約10年前にはこの比率が3:7だったことを考えると非常に対照的です。この大きな変化はブリスベンー成田やシドニー―大阪の直行便など、カンタスグループが日本路線における存在感を徐々に拡大してきたことが背景にあります。また提携するJALとともにジェットスター・ジャパンにも投資をし、日本で最大のLCCとなりました。

連携の強化に加えて、ワンワールドのアライアンスの下、カンタス航空とJALの乗り継ぎの際にもさまざまな利便性を実現しています。相互のメリットとして、ラウンジの利用、優先チェックインや搭乗、手荷物の優先的な取り扱い、手荷物許容量のご優待、マイレージプログラムのステータス特典があります。

オーストラリアと日本はこのたび航空業務協定を拡大し、オーストラリアの航空会社による東京羽田空港着便を1日2便増枠することが合意されました。当社はこの2便の増枠分について申請を行っているところであり、認可されれば、初の直行便となるメルボルンから東京羽田への便を就航し、シドニー~羽田間を1日2便に増便する予定です。

 

荻野 雅史(おぎの まさし)

慶應義塾大学卒業。ノースウエスト航空の米国本社で国際営業本部長に就任。帰国後、日本地区広報・業務推進・顧客サービス本部長を務める。2005年に日本支社長としてカンタス航空に入社。営業・マーケティング・カスタマーサービスのマネージメントや空港におけるオペレーション監督など日本での事業を統括している。航空業界には約40年間従事している。

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