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姉妹都市提携45周年 名古屋市一行、シドニーで友好を新たに

By SCP編集部 in イベントレポート

名古屋市の広沢一郎市長をはじめ、名古屋市会のさわだ晃一副議長および市会議員団、シドニー・名古屋姉妹都市委員会の委員一行は、10月22日から28日にかけてシドニー市とモスマン市を訪問した。今回の訪問は、姉妹都市提携45周年を迎えるシドニー市において、市役所への表敬訪問や現地行事への参加を通じて、両市の友好と親善をさらに深めることを目的としている。

名古屋市とシドニー市は1980年9月16日に姉妹都市提携を締結し、今年で45周年を迎えた。これまで両市は半世紀近くにわたり、市役所職員や学生の相互派遣、市主催マラソン交流、公園間の植樹交換、図書交換など、さまざまな分野で交流を重ねてきた。また、気候変動対策、多様性・包括性、都市計画といった重要なテーマについても知識交換を行っている。特に、東山動植物園とタロンガ動物園との動物交流は盛んで、シドニー市から贈られた多くのコアラは東山動植物園の象徴として市民に親しまれている。

一行の来豪に先立ち、10月半ばにはシドニー市を代表してロバート・コック市議、リンドン・ガノン市議、ワーウィック・ミラー姉妹都市委員会委員長が名古屋市を訪問した。現地では「名古屋まつり」をはじめ、名古屋市の各種行事に参列したほか、タロンガ動物園と東山動物園の訪問では、シドニーを代表してバンクシアの木4本を植樹した。バンクシアはオーストラリア原産の植物で、市花として指定されており、シドニー市街でも多く見られる美しい花を咲かせる。

名古屋市一行は24日、シドニー市庁舎への表敬訪問、姉妹都市提携45周年記念植樹式、在シドニー日本国総領事館の訪問、シドニー市主催の歓迎レセプションに出席した。表敬訪問では、ロバート・クック市議をはじめ、アダム・ウォーリング市議、ジュリー・ジェフレー都市事業・安全管理部長、西田雄一郎在シドニー日本国総領事代理が一行を温かく迎えた。式典の締めくくりとして、シドニー市庁舎の正面階段で記念撮影を行い、ハイドパーク内の名古屋ガーデンにて姉妹都市提携45周年記念植樹式および記念碑除幕式が執り行われた。

名古屋ガーデンは1983年に姉妹都市提携を記念して設立された。ガーデン内の植物や記念碑、日本式の灯籠は、日本文化への理解を深めるとともに、両市の揺るぎない関係を象徴している。植樹式には、シドニー首都圏アボリジナル土地評議会のマイケル・ウェスト議員、故キーラン・トンジ氏の家族も列席し、ディジュリドゥ奏者ブレンダン・ケリン氏による演奏が披露された。

オーストラリア勲章受賞者のトンジ氏は長年、姉妹都市委員会の熱心な委員として活動し、数多くのオーストラリアの旅行団体を名古屋へ導くなど、両市の友好関係の発展に大いに貢献した。式典ではトンジ氏の功績を称え、名古屋ガーデンにサザンカ・セツゲッカを植樹した。また、名古屋からの寄贈品として新種のツバキ科「サザンカ・シシガシラ」とシャリンバイが贈呈され、ガーデンに新たな彩りが加えられた。さらに、45年にわたる友好を記念する新しい記念碑の除幕式も行われた。

同日夜、シドニー市主催の歓迎レセプションが開かれ、タロンガ動物園代表者、シドニー市議会議員、自治体国際化協会(CLAIR)シドニー事務所代表者らが出席し、名古屋市一同および東山動物園園長を歓迎した。歓談の合間には書籍の交換や、動物園間で交換された動物の写真も掲示された。

25日には「JAPAN EXPO 2025」への参加およびカスタムハウスの訪問を実施した。「JAPAN EXPO 2025」会場では、名古屋市がPRブースを出展し、市の魅力を発信した。ブースでは名古屋独自の食文化「名古屋めし」の試食会も行われ、広沢市長自らが天むすを来場者に配布するなど、オーストラリアの人々との交流が積極的に行われた。

26日にはオペラハウスを視察し、姉妹都市委員会委員長とのミーティング後、タロンガ動物園を訪問。27日にはCLAIRシドニー事務所および独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)を訪問した。

オーストラリアには親日家が多く、昨年だけでも約100万人が日本を訪れている。広沢市長とシドニー市長は、「今後も両市の市民が相互理解と友好を深め、50年、100年と末永く、両市の絆を強めていきたい」と語った。

ロバート・コック市議

「姉妹都市提携45周年を迎えられたことは、私たちにとって非常に素晴らしい成果です。2008年に市議として初めて当選した際のことを今でも覚えています。その翌年、河村前市長とともに30周年を祝いました。その後も35周年、40周年と節目を重ねてきましたが、40周年はコロナ禍の影響で規模が縮小されたため、今回の45周年はより重要で意義深い節目となりました。

長年にわたり、市議としてこの特別な関係を祝福し、毎年名古屋からの学生を歓迎してきました。また、姉妹マラソン協定にも署名するなど、名古屋市との関係は私にとっても非常に個人的で大切なもの。今回、名古屋を訪れて直接お祝いできたことは、特別で心に残る体験となりました。

名古屋市は本当に計画的で便利な都市。日本の都市計画は、人々の日常生活がスムーズで効率的になるよう、非常に丁寧に設計されています。都市の中を快適に移動できる仕組みや、新幹線による国内移動の利便性は、シドニーが学ぶべき点だと感じます。日本の百貨店も印象的で、売り場は美しく整えられ、品ぞろえも豊富で素晴らしかったです。

今回の訪問を終えて、名古屋との姉妹都市関係をさらに強化したいという思いが一層強まりました。まだまだ共に取り組めることが多くあります。名古屋は徳川時代から続く歴史と文化遺産に恵まれており、より多くのオーストラリアの方々にその魅力を知っていただきたい。受賞歴のあるテレビシリーズ『SHOGUN』の影響もあり、世界的にも日本への関心が高まっている今こそ絶好の機会です。名古屋は歴史的な街であると同時に、交通の要衝として日本各地を巡る拠点にも最適。そして何より、名古屋の食文化は本当に素晴らしく、他では味わえない独自の魅力があります。

50周年に向けては、より大きなシドニー市代表団を派遣したいと考えています。『名古屋まつり』のパレードでは、沿道に約78万人もの人々が集まりました。名古屋の皆さんはとても温かく、特に子どもたちが笑顔で歓迎してくれたのが印象的でした。シドニー市の姉妹都市委員会は、イベント当日に小さなコアラのぬいぐるみを贈り物として配布しましたが、あっという間になくなってしまいました。次回は少なくとも1,000個は用意しなければなりませんね。

今こそ、名古屋、そして広く日本との友情をさらに深めることが大切だと感じています。シドニー市は、地域における国際交流の促進に引き続きリーダーシップを発揮していきたいと思います」

広沢一郎市長

 

「名古屋市としてシドニー市との姉妹都市提携45周年を迎えることができ、本当に感慨深いです。45年前というと1980年。姉妹都市制度は、もともと戦後の“平和と友好を祝福しよう”という思いから、都市間交流の形として始まったものです。1980年当時は、より多くの都市と交流を深めようという機運が高まっており、特にアメリカや中国など、かつて戦争を経験した国々との関係修復を目的とした提携が多く見られました。その中で、名古屋とシドニーの姉妹都市提携は、“未来志向の新たな関係を築こう”という理念のもとにスタートした点で、非常に意義深いものだったと思います。

同じ1980年には、シドニーからコアラが名古屋に贈られ、東山動植物園にやってきました。多くの名古屋市民がコアラを見に訪れたことを、今でも鮮明に覚えています。名古屋の人々がオーストラリアを最も身近に感じた瞬間だったのではないでしょうか。名古屋とシドニーは長年にわたって、深く温かい関係を築いてきました。私にとっても非常に喜ばしいことであり、今後50年、さらには100年、200年と、この絆をさらに育てていきたいと考えています。

今回の訪問では、多くの発見がありました。まず驚いたのは、トラム(路面電車)の充実ぶりです。非常に頻繁に運行されており、実際に乗車した際も、多くの市民の皆さんが日常的に利用されている様子が印象的でした。新しい交通手段がすぐに市民生活に根付いているのは素晴らしいことです。また、街全体のデザインも非常に優れており、歴史ある街並みと新しいビル群が見事に調和しています。どこを見ても絵になる美しさがあり、ダーリング・ハーバーを中心としたウォーターフロントエリアの開放的で美しい景観も、シドニーの大きな魅力のひとつだと感じました。こうした街づくりは、確固たるグランドデザインのもとで実現しているもの。名古屋でもそのような都市設計を意識し、“訪れて楽しい街”を目指していきたいと考えています。

50周年というのは、まさに半世紀という大きな節目。この機会を通じて、次の世代へとつながる新たな交流をさらに広げていきたいと思います。シドニーは日本人にとって憧れの街のひとつであり、一度は訪れてみたいと感じる方も多い街です。近年では、オーストラリアの方々が日本を訪れる機会も増えており、大変嬉しく感じています。これからも名古屋とシドニーがより深く結びつき、互いに気軽に訪れ合える関係を築けるよう、50周年を迎える頃には、さらに多くの人々が往来しやすい関係になっていることを願っています」

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