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豪州への日本産牛肉輸出が解禁! シドニーで和牛商談会が開催

By SCP編集部 in イベントレポート

日本貿易振興機構(JETRO)主催による「シドニー日本産農水産物・食品輸出商談会」と「日本産牛肉輸出再開に伴う日本産食材プロモーションイベント」が8月20日(月)に、シドニーのSofitel Sydney Wentworth(ソフィテル シドニー ウェントワース)で開催されました。

オーストラリアへの日本産牛肉輸出は、2001年9月の牛海綿状脳症(BSE)発生以降、17年間にわたり停止されていましたが、日本・オーストラリア間で日本産牛肉の輸出について協議を進め、今年の5月29日(火)に、厚生労働省が定める手続きに基づき認定を受けた施設から同国向けの輸出が可能となったばかりです。

今回のプロモーションイベントは、農林水産省の戦略的輸出拡大サポート事業の一環として実施され、日本食材を扱う20の団体がブースを出展し、目玉である和牛の他、水産物、水産加工品、調味料など日本産の農水産物や食品を紹介。和牛の取り扱いに関してのワークショップやデモンストレーションが催され、和牛の魅力や可能性が、オーストラリアの食品関係者やメディアに発信されました。

会場内の特設ステージでは日本ハムの担当者が、鹿児島県産和牛のサーロインを使ったカッティングデモンストレーションを通じ、和牛に馴染みの少ないオーストラリア人に向け、取り扱い方法を丁寧に解説し、ステーキやしゃぶしゃぶ、焼肉など、調理方法の違いに合わせた加工法を披露しました。

さらにシドニーと羽田を結ぶ全日本便の機内食アンバサダーを務めるAdam Liaw(アダム・リアウ)氏は、海外産(非日本産)の牛肉とは違い、和牛の牛脂は旨味を含み無駄なく使えることを説明。和牛の持つ繊細な味わいや肉の柔らかさを活かした調理法を解説し、オーストラリアのレストランで日本産和牛が食べられることに期待を寄せました。

日本産和牛を出品した参加団体担当者は、「昨今、オーストラリア市場への日本食品の輸出が好調になりつつあるので、今後さらにオーストラリア市場へ参入していきたい。これまでは農産物の輸出に特化してきたが、今後は米や野菜だけでなく和牛も加えて日本産食材の流通を拡大してきたい」と出展の意義について熱く語りました。

17年ぶりの輸出再開を受け、商談会には大手食肉メーカー9社が参加し、既にシドニーのレストランなどから多くの引き合いが寄せられた模様です 。成長が期待されるオーストラリア市場において、同イベントが日本産和牛を売り込む先駆けとなったことに違いありません。今後の動向にも目が離せません。

出品者名 主な出品物 所在地
1 三和食品株式会社 ほそぎり茎わさび、冷凍ゆず果汁、すだち果汁、かぼす果汁 群馬県
2 伊藤ハム株式会社 和牛(ITO WAGYU) 東京都
3 キューピー醸造株式会社 米酢、寿司酢 東京都
4 株式会社ショクリュー 養殖真鯛(天草さくらフィーレ) 東京都
5 日本ハム株式会社 和牛(黒毛和種) 東京都
6 ハウス食品グループ本社株式会社 カレーソース 東京都
7 JA全農インターナショナル株式会社 和牛(飛騨牛) 東京都
8 株式会社三崎恵水産 畜養本マグロ腹(大トロ)血合外し 神奈川県
9 養老ミート株式会社 和牛(飛騨牛) 岐阜県
10 ヤマシン醸造株式会社 白醤油 愛知県
11 近江牛輸出振興協同組合 和牛(近江牛) 滋賀県
12 株式会社銀閣寺大西 和牛(Kyoto Beef 雅) 京都府
13 エスフーズ株式会社 和牛(黒毛和種) 兵庫県
14 しまね有機ファーム株式会社 有機ゆず胡椒、有機しょうがペースト、

有機桑抹茶

島根県
15 鎌田商事株式会社 だし醤油、ポン酢醤油 香川県
16 有限会社進藤重晴商店 ゆずピール、ゆず果汁 愛媛県
17 大山食品株式会社 液体のゆず胡椒 宮崎県
18 KIRISHIMA RANCH株式会社 和牛(KIRISHIMA BEEF) 宮崎県
19 鹿児島県食肉輸出促進協議会 和牛(KAGOSHIMA WAGYU) 鹿児島県
20 株式会社鹿児島茶輸出研究所 有機抹茶 鹿児島県

 

また同日の午前中には日本から農林水産省の上月良裕農林水産大臣政務官がフィッシュマーケットを視察に訪れ、フィッシュマーケット社ジェネラルマネジャーのブライアン・スケパー氏からどのように水産物が運び込まれるのか、市場に出されるかなどの説明を受けながら実際の売り場などを見学しました。シドニーのフィッシュマーケットは、現在移転が検討されており、東京では築地市場が今年の10月に豊洲に移転することから共通の課題について意見が交わされました。

フィッシュマーケット視察後には、ナイル・ブレアNSW州第一次産業大臣とハイレベル会合が行われ、農業分野での協力やフィッシュマーケット移転にかかる技術協力・人的交流など、具体的連携推進に向けた枠組み作りについても議論されました。

 

文:高瀬みなみ

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