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オーストラリアで人気のエコツアー8選! 選ぶ理由・ポイントは?

By SCP編集部 in オーストラリア基本情報, ツーリズムデータ

オーストラリア人が旅行先を考える際、サステナブルな取り組みを実施するツアー・場所を好んで選ぶことをご存知でしょうか。自然や動物などに負担を与えず楽しんだり、アボリジナル文化への見識を深めたりと、自然環境と人間活動を両立するエコツーリズム(環境や歴史文化を体験しながら学ぶ観光)を実践しています。

というのも、オーストラリアの人々は環境保全に対する意識が非常に強く、普段からエコロジカルに重きを置いた生活を送っています。それは旅行選びにも反映され、オーストラリア国内ではエコツーリズムに主眼を置いた商品が数多く打ち出されています。

世界的にもエコツアーに対する注目が高まっている今、日本への旅行でも環境に配慮した内容を求める声が増えています。エコの最先端を行くオーストラリアの人気ツアーを参考に、それらが選ばれる理由や、環境を意識したツアー作りのコツなどをチェックしてみましょう。

海を楽しむ! エコツアー

環境保護グループによるツアー

シュノーケリングやクルーズなど、海を楽しむ方法はいくつかありますが、そこにいる生物やサンゴは貴重な生態系。エコツーリズムの考え方が広がるにつれ、安全な方法で触れ合うことができるツアーへのニーズが高まっています。参加者にとっても単なる“珍しい体験”にとどまらず、本物と出会い、理解することで、体験が“特別な経験”となります。個人の環境意識が高まることにもつながるため、子どもを連れたファミリー層から人気を得ています。

<例>ポートダグラスで体験学習!

ケアンズから車で約1時間ほど北上した、クイーンズランド州北部にある海辺のリゾートタウン・ポートダグラス。この地域には世界最大のサンゴ礁帯・グレートバリアリーフや、世界最古の熱帯雨林があります。リバークルーズや伝統的な釣りツアーなど、エコツアーは数多くありますが、中でも、アドバンスド・エコツーリズム認定を受けているSailaway Reef and Island Toursによるシュノーケリングツアーは人気。海洋生物学者がガイドとなり、サンゴの育成、サンゴ礁の状態などをエコ観点から解説してくれます。マリンレジャーから一歩踏み込んだ海での知育体験が、人々を強く惹きつけています。

<例>ロードハウ島で有名ガイドに師事する!

シドニーから飛行機で約2時間、本土から東に600km離れたところにあるロードハウ島には、海鳥や植物などたくさんの固有種が生息しており、島のほとんどが海洋公園として保護されています。ここにある特徴的なツアーが、博物学者・作家・写真家でもある有名自然ガイド、イアン・ハットン氏と学ぶツアー。1日1時間程度の講義から、島外の雑草根絶のための環境ボランティア活動ツアーまで、様々な観点から島の固有な自然環境を学ぶことができます。島に行くだけでもかなり稀有な体験はできますが、その意味を学び未来を考えるという付加価値こそ、旅行を忘れられないものにしてくれるのかもしれません。

人数制限を設けた海洋公園

環境保全のため、一度に滞在できる観光客の数を制限している場所もあります。オーバーツーリズムを防ぐことで環境を悪化させない、という目的のほか、制限していることを通して旅行者に問題意識を持ってもらう、という側面もあります。

<例>1日わずか100人のみ! フランクランド島

グレートバリアリーフの真ん中にあるサンゴ礁に囲まれた無人島。手つかずの自然が残されていて、時にはジュゴンに会えることもあるほど、美しい海が広がっています。ただし島に上陸できるのは1日わずか100人と、かなり厳しい制限が設けられています。そのため稀有な体験にただ飛びつくのではなく、なぜ稀有なのかを考えたうえでの自然体験となることは必至。エコツアーの意義が人々に一層深く理解・浸透していき、結果的にその周辺地域へのリピーターの増加につながっています。

 

山を楽しむ! エコツアー

トレッキングツアー

エコロジカルな生活を重んじるオーストラリア人ですから、エネルギー資源はなるべく使わず、環境を変えないことが望まれています。その点、トレッキングはガソリンが不要なことはもちろん、車のための道が必要ないので自然を壊すことなくその土地を満喫できると、人気を得ています。特にオーストラリア人はハイキングやトレッキングが大好きなので、数日間かけて歩いて回るツアーは魅力的! 各地で好評を博しています。

<例>シーニック・リムで、6日間の山旅へ!

ブリスベンから車で南に約90分ほど行ったところにある、山脈と熱帯雨林に囲まれた場所がシーニック・リムです。6つの国立公園があり、山脈に囲まれた谷には田舎町が点在しています。地域にはホテルはもちろん、キャンプやファームステイなど自然を楽しむための場所、ワイナリー巡りや野生動物と出会うアクティビティなどがありますが、そのすべてを体験でき、自然を感じることができると人気なのがトレッキングツアーです。2日間から6日間まで様々なコースがあり、夜はグランピング施設で星を見ながら眠ることができます。山しかない場所で、山のすべてを楽しむ。自然豊かな地域をそのまま観光に生かした、エコツアーの成功例のひとつです。

サイクリング

雄大な自然を感じられ、風土と深く結びついた歴史・文化を学ぶのに最適なのが、自転車旅。“トレッキングほどの時間がない”、“体力に自信がない”、“家族全員で楽しみたい”といった人にも支持されています。

<例>ウルルの雄大な自然を自転車で巡る!

オーストラリアのほぼ中心に位置し、エアーズ・ロックという名でも知られる大きな一枚岩・ウルル。約1万年以上前にこの地に住み着いたアボリジニの人々の聖地です。近辺には様々なアクティビティが経験できるエアーズロックリゾートがあり、複数のエコツアーも用意されていますが、体を動かすアクティビティとして人気があるのがサイクリング。ウルルの麓にある古代の壁画や滝つぼなどを、自分のペースで見て回ることができます。家族で旅行することが多いオーストラリア人ですが、6歳から利用できる子ども用自転車も用意されているので、ファミリー層からも人気のプランとなっています。

<例>ゴールドフィールズの、点在する町を効率よく回る!

メルボルンから西に約110kmほどのところにある、ゴールドラッシュ時代の面影を残したこのエリアには、当時をしのばせるビクトリア調の建物や資料館などが今も点在しています。この周辺地域を観光する人に人気なのが、ゴールドフィールズトラックと呼ばれる210kmの道のりです。マウンテンバイクを使用して駆け抜ける景色は、壮大かつ爽快! 歴史ある町や村を通りながら、雄大な自然や、古いゴールドラッシュの遺物を観光・体験することができます。観光場所が一か所にかたまっていなくても、自転車さえあれば、観光客はその土地を楽しみながらそれぞれの村に立ち寄ってくれるという一例です。

 

食を楽しむ! エコツアー

ワイナリー

オーストラリアにはワイナリーが併設されたファームが多く、ワインを楽しみながらゆったりと過ごす…という贅沢な休日が好まれています。ワインだけでなく、その地方で採れた新鮮な野菜を使った食事も楽しめるので、長い旅行日程のうち、数日間滞在する家族も多く見られます。“ファームステイ”と聞くと、野暮ったいイメージを持つ人もいるかもしれませんが、オーストラリアでは地産地消を実現しながらその土地を楽しめる場所として、定番の旅行先となっています。

<例>グレナーティ・ロードでバリエ豊富なファームを体験する!

西オーストラリアにある有名なワイン産地・マーガレットリバーの少し南に位置するこのワイナリーは、敷地内に様々な農場を併設しています。ブドウのほか、羊、豚、野菜も一緒に飼育・栽培されているため、ブドウ農園だけでなく家庭菜園や農場など、様々なことを一度に体験することができます。

食材調達ツアー

オーストラリアでも日本同様、味覚狩りが人気です。フルーツピッキング、キノコ狩り、釣りなど、自分で探して採るものはもちろん、牡蠣の養殖ファームで見学を兼ねた収獲をしたりと、多岐にわたります。アミューズメント感覚で行うだけでなく、SDGsへの意識から、食物の生まれる場所を自分で体感したいと足を運ぶ人も多くいます。

<例>ブロークンベイの養殖産業を見学する!

シドニー市内から車で1時間超のところにある湾。牡蠣の養殖の見学ができるほか、真珠の養殖の様子も見ることができます。オーストラリアでは日本と同じく牡蠣が好んで食べられており、ブロークンベイに限らず、オーストラリアの様々な場所で牡蠣が養殖・収獲されています。ワイナリー同様、ツアーを持つ養殖所が多く、オーストラリアの人々にとってこうしたファームを訪れることは非常に身近であり、海外でも訪問したいという意欲があると思われます。

 

その他

アボリジニ民族のガイドと行くエコツアー

オーストラリアの人気ツアーでよく挙げられるのが、アボリジニ(先住民族)のガイドと共に行う自然体験です。自然を大切にし、自然と共に生きてきたアボリジナルピープルは、いわばエコとサステナビリティの先駆者。彼らの伝統を知れば知るほど、人々は地球環境を守っていくことの大切さを実感することになります。その土地に住む人々を敬うことを大事にするオーストラリア人は、他国に対しても同様、場所を楽しむだけでなく、地元の人と積極的な関わりを求める傾向があります。

<例>モスマン渓谷でドリームタイムウォーク!

ケアンズにある世界遺産の熱帯雨林地域。地元のクク・ヤランジの人々のガイドによる、ンガディク(昔の物語や伝説)をまじえたウォーキングが人気です。伝統的なセレモニーを受けたり、自然素材を使った石けんや染料の作り方を見学したりできます。

おしゃれなエコリゾートが増加中

太陽光発電や雨水利用など環境に配慮されて作られたホテルや、野生動物の生活を崩さないように作られたグランピング施設も人気があります。日本人の感覚だと、エコな施設=素朴という印象を持ちがちですが、そうしたイメージを一新したゴージャスなリゾートが作られ、大変な人気となっています。

<例>自己完結型ホテル・ブラック・バード

ゴールドコーストから約90km南の町・バイロンベイにあるホテルです。材料からエネルギーまで、ほぼすべてをホテルでまかなっています。外観・内装はモダンで、非常におしゃれ。さらにマッサージや素晴らしい料理なども準備されていて、リッチな気分でエコを満喫できます。

<例>リッチ気分でグランピング・ハビタット・ヌーサ・エバーグレーズ・エコキャンプ

“Australias Best New Tourism Business”受賞。ブリスベンの北・約140km、ヌーサにあるキャンプとグランピングを楽しめる施設です。野生のカンガルーがいる環境でありながら、部屋は非常に美しいという贅沢な環境。施設内では高級アメニティが使用されており、大自然の中でありながら、ラグジュアリーな気分を味わうことができます。

 

まとめ

オーストラリアは国全体を通して、非常にエコに対する関心が強い国です。これは国の政策や企業の取り組みが社会に浸透しており、個人ひとりひとりが環境に配慮した生活を送っているからでしょう。強制されて行うわけではなく、地球のことを考えて自発的に行動する。オーストラリアはそういった環境意識の高い人々が多いのが特徴です。

世界の先を行く環境意識を持つオーストラリア人ですから、彼らの求める旅行観は、今後ますます世界中に広がっていくでしょう。日本国内でも徐々にエコツアーが増えていますが、オーストラリアの様々な取り組みを参考にして世界的なニーズに応えていければ、海外からの観光客がより一層、日本を楽しむことができると思われます。

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