コロナワクチンの普及により、感染者数が減少傾向にある国や地域では、国境の開放や行動制限の緩和など日常生活の基盤回復に向けた動きが活発化されている。世界に先駆けてワクチン接種を開始したイギリスでは、大幅にコロナ関連規制が撤廃されたことで、順調にコロナと共生の道を歩み始めたかのように見えたが、9月半ばから感染が再拡大。連日4万人を超える新規感染者数が確認されていることから、イギリス政府は国民に対して、追加接種を受けるよう呼びかけている。オーストラリア連邦政府は10月、昨年3月から実施している国境封鎖措置を11月から緩和し、ワクチン接種完了を条件に、オーストラリアからの自由な出入国と入国隔離免除※を認めると発表した。オーストラリアの国境はじつに18カ月ぶりに開放されたことになり、国際的な往来再来へ一歩前進したと言える。
オーストラリアのコロナ現況
オーストラリア連邦政府が「コロナとの共生」を目指す方針に転向したことにより、多くの州が、コロナのワクチン接種率を基準とする行動制限緩和計画を掲げている。ニューサウスウェールズ州では、10月11日に州内のワクチン接種率が70%に到達したことを受け、コロナの感染防止対策の一環として実施していたロックダウンをおよそ100日ぶりに解除した。これにより、コロナのワクチン接種完了者を対象に行動制限の緩和や飲食店の営業再開などが認められ、州民はこの日を「Freedom Day(自由の日)」と名付け、久しぶりの“自由”を謳歌した。ビクトリア州のメルボルンでも、コロナのワクチン接種率が目標に達したことを受け、累計で世界最長となっているロックダウンが10月22日にようやく解除された。しかし、連邦政府ならびに州政府は、人々の交流が活発化することで、感染リスクが再び高まることを危惧しており、国民や州民に対し、ワクチン接種や感染防止対策を徹底するよう勧告している。
オーストラリアの国境再開について
オーストラリアの国境は一時期、ニュージーランドのみ開放されていたが、現在両国間の行き来は停止している。11月からワクチン接種が完了した国民や永住権保持者などを対象に、入出国規制緩和や入国隔離※が撤廃されることで、オーストラリアのナショナルフラッグキャリアであるカンタス航空は11月1日から国際線再開を発表。シドニー~羽田路線は12月19日から運航される見通しだ。また、オーストラリア連邦政府は、11月21日から新型コロナウイルスのワクチン接種完了者を対象に、シンガポールからの入国を認めるとともに、入国後の隔離措置※を免除する方針を明らかにした。他の国や地域へのトラベルバブル拡大の期待が高まる中、観光や航空業界は、国内の旅行機運盛り上げようと格安ツアーや航空券などを精力的に販売している。
2021年9月訪日オーストラリア人数
コロナの感染対策として、日本政府による14日間の隔離措置、PCR検査受験そして査証免除措置適用停止の対象となっている。オーストラリア政府も国境を跨ぐ海外渡航禁止措置を継続しているため、2021年9月の訪日オーストラリア人数は100人に留まった(対2019年同月比99.8%減)。
JNTOシドニー田中所長のコメント
ご存じの通り、オーストラリアではワクチン接種率が高まったことで、急速に規制緩和が広がっています。クリスマスの旅行シーズンを前に、各州における入境制限の緩和発表や、オーストラリア人や永住権保持者などを対象に入国隔離の撤廃※など、旅行業界も明るい兆しが見えてきました。後は日本側の入国規制の動向を見極めている状況です。
8月中旬から1カ月間、JNTOシドニー事務所では、フェイスブックやインスタグラムを使ったフォトコンテスト「Share your Japan」キャンペーンを実施し、参加者には過去の訪日旅行で撮影した写真や自炊した和食の画像など日本にまつわる写真を投稿いただきました。約4,000人を越える方々に参加いただきましたが、「自分のSNSにハッシュタグをつけて投稿する」という簡単な参加形式にしたことが功を奏したのかもしれません。また、SNSを活用することで、参加者のフォロワーの方々にも日本の魅力を発信することができました。日本側の入国制限が撤廃された暁には、旅行先として日本を選んでいただけるよう継続した情報発信を行ってまいります。
※現時点ではニューサウスウェールズ州及びビクトリア州のみ
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