新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中、7月24日に世界保健機関(WHO)は世界の感染者が過去24時間で28万4,196人増えたとし、一日当たりの新規感染者数としては過去最多を更新したと発表。収束のカギはワクチン開発とし、各地で治療薬やワクチンの早期実用化に向けた動きが加速している。条件付きではあるが、欧州やアメリカなど一部の国・地域で観光目的での入国制限が緩和し、観光業再開に向けての動きが高まっているなか、7月8日に国連世界観光機関(UNWTO)も旅行再開を呼びかけたばかりにもかかわらず、欧州では感染者急増が相次いでいることから、第2波到来に向けて2度目の都市封鎖を検討している国も出てきている。
日本政府観光局(JNTO)は、2020年6月の訪日外客数が2,600人(前年同月比99.9%)だったと発表。多くの国で海外渡航制限や外出規制が講じられ、日本でも実施されている検疫強化や査証の無効化などの感染拡大防止策が大きな影響を及ぼしている。コロナによって、展示会やイベントが次々と中止や延期に追い込まれており、今年10月に開催予定であったインバウンド商談会「VISIT JAPANトラベル&MICEマート(VJTM/VJMM)2020」も中止となった。
日本政府観光局(JNTO)訪日外客数の集計・発表https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/pdf/200715_monthly.pdf
訪日オーストラリア人数は10人(前年同月比100%減)。一時はコロナも収束したように見受けられ、州内及び一部の州外旅行も活発化に向けた動きが見られた矢先に国内第2の商業都市であるメルボルンで感染が再度拡大。ビクトリア州政府は今月8日から州都メルボルンの6週間のロックダウンを施行、そして23日からは外出時のマスク着用義務化に踏み切るなど感染防止策は強化の一途を辿っている。国内最多の人口を抱えるニューサウスウェールズ州でも新規感染者の増加やクラスターが発生していることから、国内では第2波への懸念が急速に高まっている。また、国内航空最大手のカンタス航空が2021年3月28日分までの国際線の予約について、ニュージーランド線を除くすべてを保留すると発表。オーストラリア政府もワクチンが完成しなければ国際観光の再開は困難だと示唆している。
依然として厳しい状況が続く中、JNTOシドニー事務所田中所長にお話を伺った。
「今は日本側・豪州側共に我慢の時期ですが、『認知度向上』や『理解深耕』に焦点を当てた情報発信が必要だと思います。地道ではありますが、継続することで旅行業界へのアプローチへ繋がりますので、焦らずにじっくりとした対応をお願いしたいです。6月にホールセラーの方々に実施したアンケートでは、日本事業者様にどのようなことを求めるか伺いました。回答の75%が『旅行者への特別な体験の提供』でしたので、改めて今後に向けて、各々のエリアでどのようなものが案内できるのかを見直し、準備していただきたいです。
またこの機会に受け入れ態勢の見直し(多言語や多様な食習慣への対応)、環境に配慮した取り組みや衛生対策の実施、そしてその活動を告知することで、消費者の方に次の海外旅行の行き先として選んでいただきやすくなります。私たちも定期的なウェビナーを開催しており、認知があまりされていない地域の情報発信を実施しています。参加者からは「新たな発見ができた」や「理解が深まった」というお声をいただいており、刻々変化する状況ではありますが、現時点での日本は「清潔で安全」という認識が高く、訪日観光需要の早期回復が期待されています」
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