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オーストラリア人観光客は増加傾向? 訪日目的や旅行トレンド

By SCP編集部 in オーストラリア基本情報, ツーリズムデータ

オーストラリアと日本は、ワーキングホリデーを中心に活発な人材の往来が見られる国です。現在では日本へのオーストラリア人観光客が増加傾向にあるとされています。

なぜ日本を訪れるオーストラリア人観光客が増加傾向にあるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。本記事では、本当に日本へのオーストラリア人観光客は増加傾向にあるのかを中心に、訪日目的や旅行トレンドを解説します。

本記事を読むことで、日本にやってくるオーストラリア人観光客のトレンド・傾向などがわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。

日本へのオーストラリア人観光客は増加している?

日本を訪れるオーストラリア人観光客は年々増えており、2019年には62万1771人まで増えました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年から2022年まではオーストラリア人観光客が激減しましたが、コロナ禍の影響がなくなり始めた2023年には61万3062人と2019年の水準まで急回復しています。

そして、2024年は9月時点で63万7300人と既に過去最高を更新しており、昨年と比べて約60%ほど増えている状況です。
参照:日本政府観光局(JNTO)「国籍/月別 訪日外客数」

オーストラリア人観光客が訪日している背景

2024年のオーストラリア人観光客数は、わずか9か月間で2023年の観光客数を上回る状況になるなど、現在も増加傾向にあることは明らかです。その背景には以下の理由が考えられます。

  • 日本豪州間の直行便増加
  • フライト時間が短く時差が少ない
  • 長期休暇が日本のスキーシーズンが重なる
  • 円安による影響

本項目では、上記の内容について解説します。

日本豪州間の直行便増加

オーストラリア人観光客の来日が急増する背景には、日本とオーストラリアを結ぶ直行便が増加していることが挙げられます。

例えば、2019年にはオーストラリア・羽田間の往復便が1日で2便ずつ増え、運行便数が一気に3倍まで増えました。
参照:在日オーストラリア大使館「日豪間の航空サービスに、新たな機会が到来」

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年3月から2022年9月まではカンタス航空が運行を停止していましたが、2022年9月から羽田・シドニー線が再開されると、ブリスベンやメルボルンといったオーストラリアの主要都市と日本をつなぐ路線が再開されています。

フライト時間が短く時差が少ない

日本とオーストラリアは経度がほとんど同じのため、時差が少ないのが特徴です。通常の時差は1時間程度しかなく、オーストラリアが夏を迎える10月から4月にはサマータイムが導入されますが、それでも時差は2時間ほどしかありません。

そのため、オーストラリア人観光客が日本を訪れても、時差ボケの心配がないので、旅行に悪影響を与えにくいと言えます。

またフライト時間の短さも魅力のひとつです。日本とオーストラリアの直行便はだいたい8~11時間ほどかかります。実はオーストラリアから欧米諸国に向かう場合、ほとんどがアジアを経由していくため、1日程度フライトに要することがあるのです。

欧米諸国へ旅行に向かうのと比べても時差も少なくフライト時間も短くて済むため、旅行先として日本が選ばれやすくなります。

長期休暇が日本のスキーシーズンが重なる

オーストラリア人観光客が多く訪れる観光地に北海道のニセコ町があります。ニセコ町には多くのオーストラリア人観光客が訪れており、特にオーストラリア人観光客が一気に増えるのは12月から2月のシーズンです。このシーズンはパウダースノーの雪がニセコに降り積もる時期であり、スキーヤーには最高のシーズンでもあります。

オーストラリアにおける長期休暇の期間は12月と1月で、まさにスキーシーズンと重なります。12月・1月は真夏を迎えるオーストラリアからすると、日本は避暑地感覚で訪れることができ、スキーを楽しむ人にとっても最適のエリアです。そのため、ファミリー層を中心に来日しています。

オーストラリア人が訪れる場所はニセコ町以外にも白馬があります。白馬も良質なパウダースノーで知られており、ニセコに比べて東京からのアクセスが良いことや、多数のスキー場があり初心者から上級者まで楽しめる豊富なコースがある点が魅力です。また、外国人に対応したレストランやバー、カフェも多く、町全体で外国人を受け入れる体制が整っています。これらの点がオーストラリア人から高く評価されています。

円安による影響

オーストラリア人観光客が日本を訪れる要因として、円安が挙げられます。1オーストラリアドルは2024年10月末時点でおよそ100円前後です。ここ20年で見ても「オーストラリアドル高円安」傾向が強く、最もオーストラリアドルが安かった時期が60円を割り込む程度だったことを考えると、明らかに円安の状態です。

円安の状態にあるため、オーストラリアドルが強く、例えば、日本円で多少高めのホテルであってもオーストラリアドルに換算するとそこまで高いとは言えないケースも出てきます。円安の影響が大きいこともオーストラリア人観光客の増加につながっていると言えるでしょう。

日本へオーストラリア人観光客が訪れる理由

なぜ日本へオーストラリア人観光客が多く訪れるのか、その理由が気になる方も多いはずです。理由としては以下が考えられます。

  • 日本の伝統文化や自然に対する関心度が高い
  • 多民族国家として他国の歴史・文化・食への尊重が深い
  • 日本語学習者数が多く、日本に親しみが強いオーストラリア
  • 四季折々の風景が魅力的に感じる
  • ポップカルチャーに関心がある
  • アニメや漫画、ゲームなど

本項目では、上記の理由について詳しく解説します。

日本の伝統文化や自然に対する関心度が高い

オーストラリア人観光客が日本を訪れる理由として、日本の伝統文化や自然に対する関心度が高いことが挙げられます。元々オーストラリアは自然豊かな国であり、自然に対する関心度が高い中、日本も自然が豊かな国なので、親近感につながっていると言えるでしょう。

一方、オーストラリアの歴史はまだまだ浅く、これから歴史を深めていこうとする状況です。日本はオーストラリアよりも歴史が長いため、オーストラリア人からすると日本の伝統文化への興味が湧きやすいこともポイントです。

多民族国家として他国の歴史・文化・食への尊重が深い

オーストラリアは多民族国家であり、日本に限らず、他国の歴史や文化、食への尊重が深い点も挙げられます。オーストラリアはヨーロッパから移住してきた人たちが国家を形成していったため、おのずと多民族かつ多文化国家となっていったのです。

その影響もあり、オーストラリアにある街のスーパーマーケットでは、幅広い種類の日本の調味料や食品が置かれています。こうした背景もあり、他国の歴史や文化、職に対して興味を持ちやすく、その中で日本に興味を持つオーストラリア人が増えたと言えます。

日本語学習者数が多く、日本に親しみが強いオーストラリア

オーストラリアでは日本語を学ぶオーストラリア人が多く、結果として日本に親しみを持つ人が目立つ状況です。オーストラリアの日本語学習者数は約40万人と人数だけで見れば日本は4番手です。しかし、人口10万人当たりの日本語学習者数は1708人とダントツの1位でした。オーストラリア人の60人に1人が日本語を学んでいる計算です。
参照:
在シドニー総領事通信「第 20 回 オーストラリアの日本語教育――日豪交流・協力の担い手をつくる」

これだけ多くの日本語学習者数を誇るのは、義務教育が要因です。オーストラリアでは義務教育期間中に外国語の必修科目もしくは選択科目があります。科目の中のひとつに日本語があり、その日本語を設定する学校が多いことも要因です。

90年代後半には日本語教育ブームが巻き起こるなど、日本語に対する興味関心が飛躍的に高まりました。その世代が日本を訪れている可能性が想定でき、義務教育において日本語を学んだ学生の多さがポイントと言えます。

四季折々の風景が魅力的に感じる

オーストラリアも日本も四季があるのが特徴です。北半球と南半球の違いはあれど、オーストラリアと日本は赤道からの遠さや経度を考えると、似たような場所です。

日本と言えば、四季折々の風景が見られることで知られています。ニセコ町にスキーを堪能するように、四季を楽しみたくて日本を訪れるオーストラリア人はそれなりにいると言えるでしょう。

ポップカルチャーに関心がある

オーストラリアでは日本のポップカルチャーについて関心が高いのが特徴です。オーストラリアでは毎年「SMASH!」というイベントが行われます。「SMASH!」は、オーストラリア最大のマンガ・アニメのイベントで、日本の作品が数多く紹介されています。

2024年7月に行われた「SMASH!」では、日本からやってきたアニメの声優に人が多く集まるなど大盛況でした。日本にあるアニメ・マンガの聖地に足を運んでみたいと考えるオーストラリア人が増えており、その要因もオーストラリア人観光客の増加と大きく関係しています。
参照:一般財団法人自治体国際化協会シドニー事務所「オーストラリア最大規模のマンガ・アニメのイベント「SMASH!」に出展」

アフターコロナのオーストラリア人旅行者の旅行トレンド

ここからはアフターコロナのオーストラリア人旅行者に関する旅行トレンドについて解説していきます。

主な旅行トレンドは以下の通りです。

  • 日本を訪れたオーストラリア人観光客の消費額が急増
  • 20代のオーストラリア人が多い傾向


引用元:国土交通省「【インバウンド消費動向調査】 2024年7-9月期の調査結果(1次速報)の概要」

2024年7月から9月に日本を訪れたオーストラリア人観光客の旅行消費額は574億円で、前年の同時期と比べて41.9%増えています。さらにコロナ禍前の2019年の同時期と比較すると、118.4%増えている状況です。

参照:国土交通省「【インバウンド消費動向調査】 2024年7-9月期の調査結果(1次速報)の概要」

1人あたりの旅行支出を見ても、オーストラリア人観光客は32万8074円と2019年の同時期と比べても50.2%増えています。日本にやってきたすべての外国人旅行者の旅行支出は22万3195円のため、実に10万円以上多く支出していることが言えます。

品目別で最も多くお金をかけているのが宿泊費で13万1743円となっています。これは日本への宿泊日数が増えているためで、2019年同時期と比べても平均2.6泊増えている計算です。

しかも、ニセコなどスキーシーズンともなると、さらに増えることが予想されるため、よりはっきりとした傾向が冬場の統計でみられる可能性が高いと言えます。


引用元:国土交通省「訪日外国人の消費動向訪日外国人消費動向調査結果及び分析2023 年 年次報告書」

一方、年代別でオーストラリア人観光客を見ると、20代の割合が最も多いことが分かっています。特に20代女性の割合が大きく、20代女性は15.6%、30代になると7.4%に下がるため、日本は若い世代に人気の観光スポットと言えるでしょう。

参照:国土交通省「訪日外国人の消費動向訪日外国人消費動向調査結果及び分析2023 年 年次報告書」

来訪目的も全体の8割が「観光・レジャー」であり、大多数がパッケージツアーではなく個別手配で日本にやってきています。また20代に人気ということもあり、動画サイトを見て日本の情報を収集し来日する人が多く、インターネットにおける情報発信が重要であることが言えます。

まとめ

オーストラリア人観光客は確実に増加しており、統計を見ても明らかです。一方で若い男女に人気となっており、冬になると多くのオーストラリア人観光客がニセコを中心にパウダースノーを追い求めてやってくる状況です。

一方で、日本各地でオーストラリアから観光客を呼び込もうと、オーストラリアの旅行会社の担当者を招いて視察ツアーを行う動きも強まっています。2025年には大阪で万博が開催されることもあり、万博に足を運んだ後に来てもらえるよう、オーストラリア観光客の呼び込み合戦が盛り上がりを見せている状況です。

オーストラリアでは義務教育中に日本語の教育が行われていることも大きく、日本に対する親近感につながっています。オーストラリア人観光客は今後も増えることが予想されます。

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