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【ゴルフツーリズム】ゴルフ人口増加のオーストラリア人を呼び込む!

By SCP編集部 in オーストラリア基本情報, ツーリズムデータ

現在、ゴルフ人口は世界全体で約7000万人近くいると言われており、国内外を問わず観光業界では「ゴルフツーリズム」が注目を浴びています。これはゴルフ目的にその国を訪れる旅行スタイルのひとつで、ゴルフ場だけでなく周辺地域も観光で訪れるため、ゴルフ場を含めた地域全体の経済活性化につながっています。

海外ではすでにゴルフツーリズムが経済における有力なコンテンツとなっているのですが、世界での盛り上がりに対し、日本では取り組み件数・内容ともに物足りないのが現状です。ゴルフ場の数は世界で3番目に多いにもかかわらず、ゴルフ関連の誘致はあまりされていません。

ゴルフ場に足を運ぶ日本人が減少している今、増加するインバウンド需要を利用して外国人観光客を呼び込むことで、ゴルフ場の経営はもちろん、周辺地域の観光・飲食関連の消費が増えることは間違いありません。ゴルフによるアウトバウンドが盛んなオーストラリア人をターゲットに、ゴルフツーリズムの現状や今後の展望などをチェックしてみましょう。

世界のゴルフツーリズムと日本

世界は今、ゴルフブーム!

全英ゴルフ協会および米国ゴルフ財団の調査によると、世界のゴルフ人口は約6930万人(2023年/オンコースのみのプレイヤー)にのぼると推定されています。この人数は年々右肩上がりに増えており、オフコース(インドアゴルフなど)でのプレイヤーを加えるとさらに膨れ上がります。会員費やウェア・用具購入費などによる経済効果はもちろんのこと、優れたゴルフ場を投票で選ぶワールド・ゴルフ・アワードが毎年開催されていたり、ゴルフ目的の旅行が増えていたりと、ゴルフはプレイヤー本人だけでなく、周囲の人々・環境をも巻き込んだブームとなっています。

日本のゴルフ業界が抱える2025年問題

こうした世界の動きと比較すると、日本のゴルフ市場には陰りが見えると言わざるを得ません。

団塊世代が後期高齢者となる2025年問題は日本社会全体の大きな課題ですが、それはゴルフ業界も同じです。プレイヤーの年齢が75歳を迎えることで、健康状態や金銭状態に余裕がなくなるため、団塊世代のプレイヤーが一気に離脱していくと見られているからです。

また、少子高齢化や過疎化によるキャディー不足、不十分な維持管理なども深刻化すると予測されており、現状のままいくと、国内のゴルフ市場は今後、地方を中心に大幅に収縮していくと指摘されています。

日本の海外向けゴルフ市場の現在

日本のゴルフ場は世界第3位の数を誇り、自然豊かな日本の風景を生かしたコースは海外から見ても非常に魅力的です。しかし、これらの事実は残念ながら、海外ではあまり知られていません。例えば先述したワールド・ゴルフ・アワードでは、日本のゴルフ場の名前が上がることは少なく、投票数も多くありません。これは海外での日本のゴルフ場の認知度が低いことが要因だと言えます。

そもそも日本のゴルフ場は英語対応しているところが少ないほか、インターネットによるオンライン予約を扱っていないところも散見されます。また、日本独自のルール・マナーがあるにもかかわらず、その情報伝達が不足しているため、外国人プレイヤーとのコミュニケーションが円滑でないという事案も確認されています。こうした点で、現在の日本のゴルフ市場は、外国人向け対応が不十分だと言わねばならないでしょう。

オーストラリアのゴルフ市場

ゴルフ人口が急増中!

ここで、オーストラリアのゴルフ市場を見てみましょう。Golf Australiaによると、オーストラリアではクラブ会員数が増加しており、過去5年間で19%増という驚異的な成長を遂げました。特にジュニア会員数は33.4%も増加しており、ゴルフを楽しむ若い世代が増えていることがわかります。

ゴルフ人口全体では、オンコース以外の利用者も含めると約380万人。付き添いの家族やレストラン利用など、プレイヤーでない人も含めると、1年間でゴルフ施設を訪れた人の数は723万人に達します。これはオーストラリアの成人の約37%に当たる人数で、オーストラリア人にとって、いかにゴルフ場が身近で、訪れやすい場所なのかがわかります。

ゴルフによる経済効果

the Australian Golf Industry Council(AGIC/オーストラリアゴルフ産業評議会)による2023年の発表によると、ゴルフに関する支出はオーストラリア全体で年間103億ドル(日本円で約1兆円)にのぼります。これはプレイヤーのクラブ会員費のほか、入場料や飲食費、道具やウェアの購入などによるものですが、中にはゴルフを全くしない人の支出が年間約21億ドル含まれています。この金額はウェディングやイベントのほか、ゴルフ場のプール・ジム・レストランなどの利用も含まれており、ゴルフ場から大きな経済効果が生まれていることがわかります。さらに特筆すべきは、この103億ドルの支出のうち、およそ3分の1にあたる36億ドル(日本円で約3300億円)がゴルフツーリズムに関連するものであるということです。

オーストラリア人のゴルフによるアウトバウンド

これだけゴルフが身近にあるため、オーストラリアの人々にとっては、ゴルフ目的に旅行をすることが全く珍しくありません。

AGICによる同発表によると、オーストラリア人による2023年のゴルフ旅行は、海外旅行で約15万件、国内旅行も合わせると約175万件に及びます。

また同評議会による過去のデータでは、1度の旅行で少なくとも3つのコース/3~9ラウンド回る人が半数以上いることがわかっており、旅行におけるゴルフ関連の出費も、それに応じて増えています。さらに単独で旅行するのは約3%にとどまり、ほとんどの人が家族や友人、パートナーと一緒にグループ旅行を楽しんでいることがわかりました。

これらのゴルフ関連支出が重なり、オーストラリア人による海外ゴルフ旅行には、1人あたり約70万円の支出があることがわかっています。(※為替は当時のレート=1ドル94円で計算)

人気のゴルフ旅行先……日本は?

オーストラリア人に人気のゴルフ旅行先として挙げられるのは、タイ、ベトナム、ニュージーランド。すでに国外向けゴルフツーリズムに力を入れている国ばかりです。

では日本はと言うと、ゴルフ旅行先としてはほとんど名前が上がりません。オーストラリアの海外旅行代理店のサイトを見ると「日本への旅行」は非常に多く、様々なプランが見られる一方で、ゴルフを含めたものとなると、見つからないこともあるほど激減します。

2023年度の訪日オーストラリア人のデータによると、日本でゴルフなどのスポーツをした人の割合は、初めて来訪した人で2.6%、2回以上来訪した人でも4.2%にすぎないという結果になりました。スキー・スノーボードと比較すると、その割合はわずか1/5程度。“オーストラリアでも経験できるスポーツ”という面で、ゴルフとスノ―アクティビティは同じはずなのですが、人気のスキーに比べると、ゴルフはこのように低くなっています。このことから、オーストラリア人が日本を「ゴルフを楽しめる国」として捉えていないことがわかります。

(引用:観光庁「インバウンド消費動向調査」

訪日オーストラリア人は年々増加しており、2025年は年間100万人に達すると言われています。そんな中、ゴルフ旅行を好むはずのオーストラリア人が、日本ではゴルフをしていない。つまり…

多くのオーストラリア人は海外でのゴルフを楽しんでいるが、日本は海外ゴルフ旅行のデスティネーションとして認知されていない。

→オーストラリア人をターゲットにゴルフツーリズムを打ち出すことで、日本でゴルフをプレーするオーストラリア人が増加し、ゴルフ場及び周辺地域の観光が活性化する!

そのためには、現在の日本の課題を理解し、適切なプロモーションを展開していく必要があります。

海外向けゴルフ市場の課題

英語対応は“極めて不十分”

残念ながら日本のゴルフ場は、他国に比べ、外国語での案内が著しく欠けています。国内においても、観光地やレストラン、スキー場などは、程度の差こそあれ英語対応を進めていますが、ゴルフ場に関しては、驚くほど英語での案内がされていないのが現状です。ゴルフツーリズムを進めるに当たり、これは最も早急に対策を講じていくべき問題でしょう。

オンライン予約に対応していないゴルフ場が多い

先述したAGICの調べによると、プレイヤーのうち約4割以上の人がオンライン予約を使用しているそうです。けれども日本のゴルフ場の中にはインターネットでの受付に対応していないところも多く、そこでプレーするには直接電話で申し込む必要があります。英語対応が不十分な日本のゴルフ場において、外国人が電話予約するのは至難の業。そのためオンラインに対応していないゴルフ場は、避けられてしまう傾向があります。

日本のゴルフ場の認知度の低さ

日本のゴルフ場は、広大な国土をほこるアメリカ、ゴルフ発祥の地と言われるイギリスに次いで世界で3番目に多いにもかかわらず、海外のゴルフプレイヤーの間では日本=ゴルフという印象はあまりないようです。さらに日本には、丘陵地を巧みに利用した戦略性の高いゴルフコースや、繊細に整備された芝、美味しいレストランなどがあるものの、その魅力が十分に伝わっていません。

ゴルフ文化の違いによる誤解やトラブル

時間に余裕をもって到着し、前後の組に迷惑をかけないプレーを心掛け、昼休憩をはさんで1日かけてプレーしたあと、終わったら大浴場で汗を流す…。これは日本では一般的なゴルフ習慣ですが、海外が同じかと言うと、そうではありません。海外では休憩を挟まないスループレーが一般的で、だいたい4~5時間でゴルフ場を後にします。こうした時間の使い方の違いを知らないと、日本人プレイヤーとの間に誤解が生まれ、不快感を覚える人が出てくるかもしれません。

また、プレー中に風景写真を撮ることに熱中してコース内で渋滞が生じた、大浴場の脱衣所とロッカールームの違いが分からず風呂場で混乱が起こった、など、時にはトラブルになることもあります。

課題の解決方法は?

最も必要とされているのが、英語での対応です。海外プレイヤーの集客を狙うなら、まずは適切に受け入れ、応じられるよう整えることが必要不可欠です。

英語を話せるスタッフによる人的対応が理想ではありますが、それが難しくても、英語での案内表示を作成する、翻訳アプリを活用するなど、対処方法はあります。少なくとも受付や入場時の説明、レストランメニューを含めた場内の案内は、英語表示を徹底していく必要があります。

また並行して進めたいのが、ウェブサイトの英語表記です。英語に対応していなければ、海外プレイヤーが日本のゴルフ場について検索しても、ヒットすることはありません。今や自分でSNSやインターネットを使って情報収集する旅行者が多い時代ですから、まずはコースや周辺環境の魅力を伝えるウェブサイトを整え、多言語化し、オンライン予約できる仕組みを整える必要があります。それだけで世界中のプレイヤーが日本のゴルフ場に目を向けるきっかけになるでしょう。

さらにゴルフ場でのトラブルを防ぐために、利用者には事前にマナーやルールを周知しておく必要があります。ゴルフツーリズムとして外国人を呼び込むためには、こうした案内を適切に行うことが重要です。

ゴルフツーリズムに関して日本は海外に遅れを取っているため、こうした取り組みを闇雲にPRするのではなく、戦略的なプロモーションを打ち出す必要があります。サザンクロス・プロモーションズでは、インバウンド事業としてゴルフツーリズムにも取り組んでおりますので、ゴルフ場・自治体などのサポートも可能です。お気軽にご相談ください。

ゴルフツーリズムの実施例とプロモーション方法

サザンクロス・プロモーションズでは、日本の魅力をオーストラリアの人々に紹介するイベントやプロモーション活動を行っています。年間約3万人が利用するウェブサイト・G’Day Japan!では、ゴルフツーリズムを特集したページもあり、多くのオーストラリア人から閲覧されています。

サイト内では、日本のゴルフ場に関する基本情報から予約方法、日本だからこその魅力、コース外アクティビティなどを紹介しています。

 

 

サイト内では、ゴルフツーリズムにおすすめの場所としていくつかの自治体を取り上げており、これらのページも多くのオーストラリア人から閲覧されています。各自治体のPRポイントと、オーストラリア人に好まれるポイントをチェックしてみましょう。

茨城県

成田・羽田国際空港から比較的近く、海外ゴルフプレイヤーが足を運びやすい茨城県は、東京観光をセットにしたツアーはもちろん、日本の伝統文化に興味がある外国人の誘致に成功しています。茨城県には美しい自然環境や美味しい料理、神社、季節の祭りや美術館など、訪日客が求める日本の魅力が詰まっているため、ゴルフ場を中心とした戦略的なプロモーションを行うことにより、こうした魅力が外国人観光客に伝わり、より多くの旅行者・リピーターが訪れることにつながっています。

高知県

高知県は、訪日客が多い東京~大阪のゴールデンルートから外れているにもかかわらず、その豊かな自然と温暖な気候で、訪れた人々を魅了しています。特にゴルフコースについては、山岳コースからは雄大な四国山地、シーサイドコースからは太平洋の水平線を臨めるなど、日本らしい景色を感じることができ、自然の中で過ごすことを好むオーストラリア人に響きやすいと言えます。また、冬でも雪が降らず比較的暖かい気候のため、12月~1月に旅行することが多いオーストラリア人にとって、過ごしやすい土地と言えるでしょう。

ゴールデンルートから外れていても、このようにゴルフ場を起点とした新たな観光ルートを開くことができるため、ゴルフツーリズムをきっかけに、一気に観光客を呼び込むことができるかもしれません。

兵庫県

ジェットスターによる直行便で関西国際空港に到着したら、兵庫県は、もうすぐそこ。東に行けば京都、西に行けば広島・尾道、県内には姫路城や神戸港などがあり、周辺地域への観光の便が抜群に良いため、リピーターによる利用も多くなっています。また、オーストラリア人も大好きな神戸牛、灘での日本酒テイスティングなど食の魅力も多く、観光とセットにしたゴルフツアーが望まれています。

三重県

インバウンド向けゴルフツーリズムの先駆者とも言える三重県は、ワールド・ゴルフ・アワードで2022年から4年連続World’s Best Emerging Golf Destination 部門にノミネートされるほど、国内外での評価が高い自治体です。高級ヴィラを開業するなど、ゴルフ・観光・宿泊を一体とした富裕層向け展開が功を奏している津カントリー倶楽部はもちろん、そこから伊勢志摩エリアまで足を伸ばしてもらう工夫など、ゴルフをきっかけとしたプランを作成し、地方全体で盛り上げています。

オーストラリア市場へ向けた今後の展望

オーストラリアはゴルフ人口が多く、今もなお若いプレイヤーが増加しているゴルフ大国です。高い経済効果は数字ではっきりと明らかですし、海外ゴルフ旅行に対する需要もあります。さらに日本への旅行者が年々増加している上にリピーターも多く、その勢いは今後もとどまりそうにありません。このチャンスを生かせば、地方を中心としたインバウンド向けゴルフツーリズムがより盛り上がることは間違いないでしょう。

ただ、日本における海外向けゴルフ市場は発達途上であり、日本人ゴルフプレイヤーとの軋轢が生じることも考えられます。また、プロモーションが適切に行き届かず、肝心のターゲットに魅力が伝わらない可能性もあります。

そうした状況をネガティブに考えるのではなく、十分に練られたインバウンド戦略に基づいたPR活動を通し、外国人観光客を取り入れていくことが大切です。そうすることで既存の顧客プレイヤーも大切にしながら、今後の新しいゴルフ経営に舵を切り、地方経済を潤すという理想的な形ができていくのではないでしょうか。

サザンクロス・プロモーションズでは、自治体に向けた具体的なゴルフツアー商品の造成や、訪日観光誘客促進プロモーションを行っています。まずはお気軽にお問合せください。

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