新型コロナウイルスの影響によって大多数の国や地域が出入国制限を設け、人々の往来が大幅に限定されている。そんな状況が続く中、10月21日、日本政府観光局(JNTO)は2020年9月の訪日外国人客数を発表した。1万3,700人(前年同月比99・4%減)。12カ月連続で前年同月を下回ったが、6カ月ぶりに1万人を超えた。依然として日本では検疫強化や査証の無効化などが継続されているが、韓国やシンガポールなどの間でビジネス往来が開始され、限定的ではあるが国境を跨いだ移動が徐々に再開されている。しかし、世界的な状況をみると、アメリカやヨーロッパでは感染が再び拡大しており、特にイギリスやオランダなどのヨーロッパ諸国では1日の感染者数が第1波の3倍を超えるほどのペースで拡大していることに加え、今後、北半球では本格的な冬の到来を迎えることもあり、「今後数カ月は大変厳しい状況になるだろう」と世界保健機関(WHO)や専門家は警鐘を鳴らしている。
日本政府観光局(JNTO)訪日外客数の集計・発表
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/pdf/201021_monthly.pdf
9月の訪日オーストラリア人は90人。感染が再拡大していたビクトリア州では厳しいロックダウンが10月19日から緩和されたが、小売店やレストランなどの通常業態再開には11月1日までかかる見通しだと州政府は説明している。また、23日にモリソン首相は州や領土を跨いだ自由な往来の再度実現について触れ、クリスマスを目処に社会活動の再開を目指していると発表した。
海外往来に関しては、ニュージーランドからの渡航者に限り、10月16日から隔離措置免除で一部州への入国を許可。限定的ではあるものの、今年3月から閉鎖されていた国境はようやく開放され、オーストラリアは事実上の鎖国状態に終止符を打ったと言える。
日本政府がウィズコロナを前提とした人々の往来再開に向け、出入国規制緩和の調整を進めている中、オーストラリア側も隔離措置を伴わない渡航をニュージーランドから始め、その後日本を含めた数カ国との間で実現する可能性を示唆している。国際観光再開に関しては両国とも明言を避けているものの、このまま新規感染者数が減少の一途を辿れば、来年の早い段階には観光客が両国間を行き来できるのではとの期待も高まっている。
JNTOシドニー事務所田中所長のコメント
オーストラリア国内では州境規制の緩和など、明るいニュース入ってきていますが、海外旅行に関してはまだ慎重になっているように見受けられます。海外に行きたいという熱はありますが、実際にいつ渡航ができるか分からないという状況下において、予約までにはなかなか結びついていません。ただ、オーストラリア–日本間で先行してビジネストラックの話が進んでいるという情報は、両国とも感染が抑制できているというプラスの印象を与えており、日本に関しては従来からの人気を更に後押しする形で関心が高まっています。
SNSでは今後もユーザー参加型企画などを通じて、訪日への関心を維持することに加え、10月からは月に1度のペースで日本側の事業者様にご協力いただき、Facebook上で「Fun from Home」というライブ配信を予定しています。これは、JNTO東南アジア事務所と連携し、旅行ができない現状下において、自宅で日本を楽しんでいただくことを目的にした初企画です。第1回目は10月24日に配信され静岡県のお茶を皆さんで楽しんでいただきました。様々な制約がある中、なかなかリアルイベントの出展、開催が難しい状況ですが、当所では継続的にメディアや業界に対してアプローチを行い、訪日プロモーションを実施していく予定です。
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