NEWS

2025年訪日人数が100万人突破! オーストラリア人観光客の最新レポート

By SCP編集部 in オーストラリア基本情報, ツーリズムデータ

観光庁による2025年のインバウンド消費動向速報が発表され、訪日外国人旅行消費額が過去最高の9.5兆円にのぼることがわかりました。特にオーストラリアは、観光・レジャー目的での旅行者1人当たりの飲食費、娯楽等サービス費が世界で最も高い水準となっています。さらに宿泊費も世界第3位、買い物代は第6位と、全体的に高い消費額を誇っています。またオーストラリア人の旅行の特徴として、地方を訪れる傾向や長期滞在を好む傾向が見られ、インバウンド消費のキーワードとされる「地方分散」「高付加価値消費」「文化的消費」などの取り組みに即した結果が出ることが期待されています。

観光庁およびオーストラリア統計局による2025年の最新データをもとに、オーストラリア人の海外旅行の傾向や、訪日時の動向・消費の動きなどを紐解いてみましょう。

参考:インバウンド消費動向調査(観光庁)オーストラリア統計局

2025年訪日観光客・最新データ

2025年の累計訪日外客数は約4268万人にのぼり、2024年の約3687万人から15.8%増加しました。アジアやロシアからの増加が目立つほか、オーストラリアに関しては2024年の約92万人から15%増加し、105万人を突破しました。

また訪日外国人による旅行消費額は2024年比16.4%増となる9兆4559億円、1人当たりの旅行支出は22万9000円(2024年比0.9%増)と過去最高を更新しており、インバウンド市場は日本経済を牽引する重要な産業のひとつとなっています。

訪日オーストラリア人観光客の最新動向

訪日観光客数は最高人数を更新!

出典:日本政府観光局(JNTO)2026年訪日外客数

 

コロナショックで激減した2020年~2022年を除くと、この10年のオーストラリアからの訪日者数は右肩上がりに伸びており、2025年にはついに100万人に達しました。オーストラリアでは日本食を食べること、日本に関する表示や日本語を目にすることが、ブームというよりも日常の一部となりつつあり、日本への旅行も身近な選択肢となっています。

訪日者数を数値だけで見るとアジアに比べて少なく見えますが、オーストラリアの人口が約2749万人であることを考えると、相対的に非常に多いことがわかります。さらにオーストラリア人観光客の特徴として、その消費額の大きさが挙げられます。

消費額は世界第6位の4104億円

出典:観光庁 インバウンド消費動向調査2025年(速報)

年間消費額はアジア諸国、アメリカに続く第6位の4104億円を記録しています。昨年の3492億円から実に約612億円も増加しており、訪日者数の増加以上に目を見張るものがあります。この全体消費額を底上げしているのが、1人当たり支出額の大きさです。

訪日客1人当たり旅行支出は40万円超(観光・レジャー目的)

出典:観光庁 インバウンド消費動向調査2025年(速報)

各国からの訪日客1人当たりの消費額を項目別に分けると、オーストラリアが複数の項目で上位になることが明らかになりました。飲食費、娯楽等サービス費はともに第1位、宿泊費は第3位で、買い物代に関してはトップ5には入りませんでしたが第6位となるなど、各項目で高額な消費が見られます。

なかでも注目すべきなのが、1人当たりの娯楽等サービス費です。第2位のカナダに2倍近くの差をつけ、オーストラリアが突出しています。ではオーストラリア人による娯楽等サービス費の消費先はどこが多いのでしょうか。

上のグラフは2025年の訪日オーストラリア人による娯楽等サービス費の内訳です。ツアー代やテーマパーク・博物館の入場料、スキー場のリフト代、スポーツ観戦や音楽鑑賞のための費用など、その消費先は多岐にわたります。この傾向からも、オーストラリア人観光客が日本で多様な体験を積極的に楽しんでいる様子が垣間見えます。もちろん他国からの観光客にも同様の消費はありますが、その消費額の高さが物語るように、オーストラリア人の「体験」や「目的を持った旅行」を重視する姿勢は、きわめて特徴的だと言えるでしょう。

訪日オーストラリア人の2024年→2025年の変化

ほぼすべての月で前年比増

出典:日本政府観光局(JNTO)2026年訪日外客数

オーストラリアからの訪日客数をシーズン別に見ると、6月のみ前年からわずかに減少していますが、そのほかの月は増加が見られます。特に1月・4月の伸びが顕著で、これは年4回のスクールホリデー時期に当たること、スノーアクティビティや桜を見ることを目的とした旅行が増えたことが要因と考えられます。ホリデーというオーストラリア側の要因と、季節という日本側の魅力が一致した結果だと言えるでしょう。

目的型旅行の増加

1人当たり消費額のなかでも、オーストラリア人訪日客の娯楽等サービス費の消費が飛び抜けて高額であることは前述しました。これはスキーやテーマパークなど、目的を持った体験への消費が増加していることを示しています。つまりオーストラリア人が何らかの体験を求めて日本を訪れていること、量より質を求めていて、高付加価値消費を重視していることがわかります。こうした目的型旅行は今後、リピーターを中心に国を問わず増加していくと考えられており、オーストラリア人観光客の動向をつかんでおくことは、インバウンド全体を通して有効であると言えます。

地方分散がさらに進んでいる

2月にシドニー・ブリスベンで行われた旅行商談会「Japan Roadshow 2026」には、日本全国から40以上の企業・地方自治体が参加し、オーストラリアおよびニュージーランドの現地旅行会社と直接商談を交わしました。このことをきっかけに、近年のインバウンド施策で重視されている地方誘客がこれまで以上に加速していくことが期待されています。また、北海道から九州・沖縄まで、日本各地を代表する団体が一堂に会したというインパクトの大きさからも、日本・オーストラリア双方において、地方都市が持つポテンシャルをより一層意識していくようになるでしょう。

「Japan Roadshow 2026」においても、JNTOシドニー事務所の島田優太次長が「重要なのは、その関心が東京・大阪・京都だけに集中していないこと」と地方分散を強調し、在シドニー日本国総領事館の山中修総領事は「日本をより深く、より広く知りたいというオーストラリア人の関心の高まりを反映している」と訪日リピーター客の存在を際立たせていました。訪日する外国人が増加している今だからこそ、先にある未来に向け、日本全国で観光客を呼び込んでいく必要があると考えられます。

参考:100万人突破の先へ、Japan Roadshowが映す豪州インバウンドの現在地

札幌・シドニー間の直行便が好調

2025年12月から就航した札幌・シドニー間のジェットスター直行便により、スキーリゾートの注目がより高まっています。特に新千歳空港からバス・車で約2~3時間のニセコやルスツは大人気で、多くの人がスノーアクティビティを楽しむ目的で日本を訪れています。スキーリゾートと言うと長野県も人気で、スクールホリデーを利用した訪日客が年々増加しています。

最新のオーストラリア人の海外旅行傾向は?

2024-2025年度の海外旅行先は日本が3位、コロナ禍前から188.3%増

次はオーストラリア統計局によるデータを中心に、オーストラリア人にとっての海外旅行傾向を見てみましょう。以下は2024年後半から2025年前半の1年間における、オーストラリア人の海外旅行先を調べた最新データです。

出典:Overseas arrivals and departures, Australia – 2024-25 financial year | Australian Bureau of Statistics

約10年前、日本に旅行するオーストラリア人は少数派でしたが、現在は非常に増えており、旅行先として第3位に挙がっています。コロナショック前に比べ約188%増と増加率は飛び抜けていて、人気の高さがうかがい知れます。この中にはもちろんリピーターも含まれており、飽きさせることのない日本の豊富な魅力がオーストラリアの人々に伝わっていることがわかります。

平均滞在期間は引き続き「長期」

出典:Overseas arrivals and departures, Australia – 2024-25 financial year | Australian Bureau of Statistics

上記はオーストラリア人が海外渡航した際の平均滞在日数を示したグラフです。これを見ると比較的近場のインドネシア、ニュージーランド、フィジーへの滞在は10日以下ですが、それ以外は10日を超えており、オーストラリア人が日本に限らず長期旅行をする傾向にあることが明らかとなっています。

旅行を好むことはもちろん、移民が多く母国への滞在を目的とする旅行も多いため、長期旅行が習慣化しているのでしょう。今後も訪日オーストラリア人が長期滞在する傾向は変わらないと考えられます。

2026年の展望

特に増加が期待される地域は?

日本各地の魅力がメディア・SNSなどで発信され、インバウンド需要は日本各地で拡大しています。ここ数年は、どの地域も旅行者数が右肩上がりですが、都道府県別に見ると、特に増加率が著しいのが福島県、新潟県、石川県、愛媛県です。

出典:宿泊旅行統計調査 | 観光庁

福島県は台湾からの観光客を中心に会津武家屋敷や大内宿などが人気を博し、春は三春町にある三春滝桜、秋は鶴ヶ城のもみじと、その季節ならではのアイテムも訪日を促す魅力となっています。オーストラリア人からは特にスキーや火山をめぐるトレッキングツアーなどが好評です。

石川県は欧米・オーストラリアからの観光客が多いことが特徴です。武家文化、加賀友禅、金継ぎなど、日本文化への参加体験ができることが大きな魅力となっています。

新潟県は佐渡や清津峡などの観光名所に加え、冬季のスノーアクティビティに対する需要も増加しています。特にオーストラリア人は湯沢、妙高などの上質なパウダースノーを求めて足を運ぶ人が多く、リピーターも増加しています。

愛媛県は松山城、宇和島城、道後温泉など日本ならではの景色とともに、しまなみ海道の美しさが観光客の心を強く引き寄せています。サイクリングやトレッキングが好きなオーストラリア人にとって、しまなみ海道をはじめとするサイクリングルートがある愛媛県は、ゴールデンルートから足を伸ばして積極的に訪れたい場所となっています。

世界が注目する、日本での過ごし方は?

有名宿泊旅行雑誌「ロンリープラネット」の「Best in Travel2026」に、日本の“Spend the night in a RYOKAN” (旅館に宿泊すること)が選ばれました。観光地をめぐること、買い物やアクティビティを楽しむことはもちろん魅力的ですが、さらに「滞在を楽しむ」という価値観が追加されつつあることが表されています。リゾートホテルの地方進出や、日本の伝統を体験できる旅館、自然を体感できるグランピング施設など、滞在期間すべてを使って日本を満喫する流れが見られます。

2026年オープンの施設は?

今年もいくつもの施設が次々と開業していますが、その中でもインバウンド需要が見込まれているものをピックアップします。

・LPC JAPAN STUDIO 銀座本店

1月、日本の文化体験と食、ショッピングを楽しめる新たな施設が銀座にオープンしました。茶道、和菓子作り、漫画、浮世絵塗り絵、忍者、推しぬいなど、多様な体験ができるほか、和食カフェを楽しんだり、和雑貨や伝統工芸品などのお土産を購入したりすることができます。銀座というアクセスの良い場所で、ファミリー層を含めた幅広い世代が日本を満喫できる施設として、人気を博しています。

・ポケパーク カントー

2月に開業したポケパーク カントーは、ポケモン初となる屋外常設施設です。遊園地「よみうりランド」内に作られ、ゲストはポケモントレーナーとしてポケモンたちと出会い、冒険を楽しむことができます。ポケモンは海外でも人気のため、日本の新たなキャラクター施設として訪日観光客の注目を集めることでしょう。

・奈良監獄ミュージアム

明治期に作られた重要文化財(建築物)「旧奈良監獄」が、4月にミュージアム、6月にはホテルとして開業します。監獄を客観的に見つめることで自分自身の生き方を問い直したり、明治期の建築美を感じることを通して現代のアート体験ができる施設です。奈良公園から程近いこともあり、オーストラリアはもちろん、各国からの観光客が訪れることが期待されています。

2026年に日本で開催される国際イベントは?

昨年は大阪・関西万博が開かれ、来場した訪日客の消費単価が上がるなど、インバウンドにも明るい結果を残しました。今年はすでに閉幕しましたが、3月にWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の東京ラウンドが行われ、各国の応援団をはじめとした外国人が、東京を中心に訪れました。また9月には第20回アジア競技大会が愛知県名古屋市で開幕します。アジア45の国・地域の選手団が訪れるため、その時期の訪日客が増えることは間違いないでしょう。

札幌・シドニー直行便はどうなる?

前述したように、カンタス航空が2025年12月に札幌・シドニー直行便を就航しました。今シーズンの反響の大きさから2026・2027年冬季の就航も決定し、オーストラリアのスクールホリデーに当たる期間はさらに増便して、最大週5便が運航する予定です。

以下は2026/2027冬季における、QF108 札幌(新千歳)・シドニー便の運航スケジュールです。

出典:QANTAS DOUBLES CAPACITY ON POPULAR SYDNEY – SAPPORO SERVICE TO MEET DEMAND

これに伴い、冬季の訪日オーストラリア人の数は2026年もさらに増加することが見込まれています。

関心が高い日本のアイテムは?

少し前に言われた「爆買い」から、「日本でしか手に入らないもの」「自分が価値を感じるもの」への消費スタイルに変わってきています。注目されているのは、ファン付きベストやメガネ、アナログレコードなどです。ファン付きベストは日本ならではのアイデア商品で、珍しさと実用性からの需要があり、メガネは視力測定・デザイン選びをしたら、その後数時間で完成するという手軽さが魅力です。アナログレコードはコレクターに人気のほか、日本文化を背景に感じるためおしゃれなお土産としても人気が高まっているとのことです。

国際的な連休は?

アジア地域では2月に旧正月の連休があったほか、台湾は9月25日から28日まで中秋節の4連休、韓国は9月24日から9月27日まで秋夕の4連休があります。

オーストラリアは4月3日からのイースター休暇がスクールホリデーと重なっているため、旅行需要の増加が見込まれています。さらにその時期がちょうど桜の季節に当たることから、日本への旅行が増えると予想されています。そのほか6月下旬から7月中旬まで、9月下旬から10月中旬までの期間にスクールホリデーがあります。

インバウンド市場が日本経済の柱として確立された今、2026年は「質の向上」と「地方への波及」が真に問われる一年となるでしょう。オーストラリア市場が示す「目的型旅行」や「長期滞在」というトレンドは、今後の日本の観光施策における重要な指針となります。刻々と変化する世界情勢や旅の価値観を的確に捉え、官民が一体となって「選ばれ続ける日本」であり続けるための挑戦は、今この瞬間も続いています。

SNS

関連する記事