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オーストラリアとカナダの訪日データ比較

By SCP編集部 in ツーリズムデータ |

2020年に控える東京オリンピック開催の影響を受け、世界の日本に対する関心は増々高まっています。なかでも日本のインバウンド市場において北米圏とオーストラリアは重要なターゲットとして見なされています。

特にオーストラリアは、訪日観光客数において毎年高い成長を続けており、滞在期間の長さや支出額の高さから非常に注目されるターゲットとなっています。

一方、カナダでも観光客数が年々増加しており、2018年の訪日カナダ人観光客数は330,600で欧米圏の中でアメリカ、イギリスに続き3に位置しています。

本記事では、訪日オーストラリア人と訪日カナダ人の旅行動向を比較分析し、それぞれの特徴を見ていきます。

 

 

訪日観光客数の比較

まず始めにオーストラリアとカナダそれぞれの訪日観光客の基本データを見ていきましょう。

観光客数の推移

出典:日本政府観光局(JNTO)

2012年〜2018年のオーストラリアとカナダどちらも年々観光客数が増加しており、2018年の訪日オーストラリア人は55.2万人訪日カナダ人は33万人にまで及んでいます。

どちらの国も今後さらなる観光客数の増加が予想されます。特にオーストラリアは国別訪日観光客数のランキングで7にランクインしており、オーストラリア国内での日本人気が高まっていることがうかがえます。

また、カナダも北米圏において第3位の訪日観光客数を誇っていることから、両国とも日本にとって重要なターゲットであると言えます。

性別比較

出典:平成30年観光庁「訪日外国人消費同行調査」

オーストラリア・カナダともに男性が約60%、女性が約40%という結果が出ています。どちらの国も男性の割合が大きくなっていることが特徴として読み取れます。

 

年代別比較

出典:平成30年観光庁「訪日外国人消費同行調査」

どちらの国も20代の観光客の割合が最も多く、30代、50代の割合がそれに次いで多くなっています。

同行者について見てみると、訪日オーストラリア人は夫婦・パートナーと来ると回答した人の割合が30.6%と最も多かったのに対し、訪日カナダ人は自分ひとりで来ると回答した人の割合が39.2%と最多でした。

それぞれの国にあったプロモーションをすることで、より日本を訪れる人の割合を増やすことができます。

 

 

訪日観光客の消費動向

ここからは訪日オーストラリア人と訪日カナダ人の日本での消費動向について見ていきましょう。

滞在期間

オーストラリア・カナダともに7〜13日間と回答した人の割合が最も高く、次いで14〜20日間の滞在日数の割合が高くなっていました。
訪日オーストラリア人の平均泊数は13.3泊、訪日カナダ人の平均泊数は12.1泊と、両国とも日本に長く滞在する傾向にあり、非常に魅力的なインバウンドプロモーションのターゲットであると言えます。

滞在目的

 

オーストラリア カナダ
1位 日本食を食べること(85.4%) 日本食を食べること(87.3%)
2位 自然・景勝地観光(60.1%) 自然・景勝地観光(57.4%)
3位 日本の歴史・伝統文化体験(54.9%) 繁華街の街歩き(54.5%)
4位 ショッピング(54.4%) ショッピング(54.2%)
5位 繁華街の街歩き(52.4%) 日本の歴史・伝統文化体験(52.2%)

 

出典:平成30年観光庁「訪日外国人消費同行調査」

調査の結果を見ると、オーストラリア・カナダともに滞在目的に似た傾向があることがわかります。1位は「日本食を食べること」であり、両国とも8割以上が回答しています。

どちらの国もショッピングなどの「モノ消費」と日本でしかできない文化体験の「コト消費」の両方が混在していることが傾向として読み取れます。ただコト消費に注目してみるとオーストラリアは上位3位を占めており、カナダに比べてより日本でしかできない「コト」を望む傾向があると言えます。

 

一人当たりの消費額

出典:平成30年観光庁「訪日外国人消費同行調査」

全体と比べてみると、オーストラリア、カナダともに一人当たりの消費額が高いことがわかります。とくに、訪日オーストラリア人の一人当たりの消費額は242千人と訪日外国人の中でも最も高い数値になっています。

両国とも全体に比べ、宿泊費と飲食費の割合が高いのに対し、買い物代の割合が低いということも特徴として読み取れます。

とくに、オーストラリアの宿泊費の平均は約10であり全体の2倍となっています。

これらの結果からオーストラリア・カナダともにインバウンドプロモーションの重要なターゲットであることがわかります。

 

ハイシーズン比較

出典:日本政府観光局(JNTO)

オーストラリアのハイシーズンは124月でウインタースポーツができる冬の時期に日本に訪れていることがわかります。ピークは1月の約6.9万人でした。

一方カナダは、35月の春の時期と、1012月の秋から初冬の時期にかけて多く訪れていることがわかります。またカナダのピークは3月の約3.4万人となっています。

両国とも夏の時期の訪日観光客数が少なくっていることが課題として読み取れます。このことから日本の夏の魅力をより知ってもらうプロモーション方法を考えていく必要があると言えます。

 

 

訪日旅行後の影響

満足度調査

 

出典:平成30年観光庁「訪日外国人消費同行調査」

訪日旅行後の満足度調査によると、オーストラリア・カナダともに約80%以上が「大変満足」と回答しています。「満足」と回答した人の割合も含めると約98%と、非常に高い満足度を誇っていることが読み取れます。

 

日本への再訪意向

出典:平成30年観光庁「訪日外国人消費同行調査」

日本への再訪意向に関するアンケートでは、訪日オーストラリア人は「必ず来たい」と答えた人が約70%で「来たい」と答えた人は約23%でした。

訪日カナダ人も「必ず来たい」が約69%、「来たい」が24%と、高い再訪意向がうかがえます。

これらの訪日旅行への満足度や再訪意向の高さから、リピーター獲得に繋がる十分な可能性があると言えます。

 

リピーター

出典:平成30年観光庁「訪日外国人消費同行調査」

日本に初めて訪れたオーストラリア人とカナダ人の割合はそれぞれ約59%、57%6割近くでした。

それに対して日本に2回以上訪れているリピーターの割合は約4割という結果になっています。全体の平均のリピーターが約62であることを考えると、訪日オーストラリア人とカナダ人のリピーター獲得が今後の課題だと言えるでしょう。高い満足度と再訪意向を確実なリピーターにつなげていく必要があります。

 

情報収集源

訪日外国人観光客は日本旅行前にどのうように情報を収集しているのでしょうか?

また日本旅行中どのような情報が役に立っているのでしょうか?

 

オーストラリア
訪日旅行前 訪日旅行中
1位 口コミサイト(トリップアドバイザー等)(41.9%) 無料Wi-Fi(61.5%)
2位 自国の親族・知人(32.1%) 交通手段(55.3%)
3位 宿泊施設ホームページ(30.6%) 宿泊施設(35.8%)
4位 動画サイト(Youtube/土豆網等)(25.0%) 観光施設(35.6%)
5位 日本在住の親族・知人(22.1%) 飲食店(32.7%)

 

カナダ
訪日旅行前 訪日旅行中
1位 口コミサイト(トリップアドバイザー等)(38.3%) 交通手段(53.5%)
2位 自国の親族・知人(27.1%) 無料Wi-Fi(52.9%)
3位 動画サイト(Youtube/土豆網等)(26.2%) 飲食店(36.5%)
4位 日本在住の親族・知人(23.7%) 宿泊施設(31.3%)
5位 宿泊施設ホームページ(21.0%) 観光施設(27.2%)

 

出典:観光庁「訪日外国人の消費動向報告書(第2編)」

ランキングを見ると、どちらの国も訪日旅行前の情報源は口コミサイトやホームページといったインターネット媒体が目立っています。また両国とも上位2位に口コミサイト、自国の親族・知人がランクインしていることから、実際に日本を訪れたことがある人の意見を参考にしていることがわかります。

旅行中に役に立った情報を見ると、オーストラリア・カナダそれぞれに「無料Wi-Fi「交通手段」が上位2位に入っており、訪日外国人にとっていかにこれらの情報が重要視されているかがわかります。

またオーストラリアは第3位が宿泊施設となっており、一人当たりの消費額の項目でも述べた通り、訪日滞在費の中で宿泊費に最もお金をかける訪日オーストラリ人ならではの特徴が現れています。

 

 

まとめ

訪日オーストラリア人と訪日カナダ人の旅行動向を比較分析したところ

  • 訪日オーストラリア人と訪日カナダ人の数が年々増加している。特にオーストラリア人の増加が顕著であり、今後さらなる訪日観光客数に期待ができる。
  • 滞在日数や訪日旅行中の一人当たりの消費額が全体に比べてとても高く、特にオーストラリアは一人当たりの消費額が全体の第1位である。
  • オーストラリアとカナダは訪日観光客の属性や消費動向、満足度、再訪意向など似た傾向にあるものが多い。両国とも高い満足度や再訪意向を確実なリピーターにつなげることが今後の課題である。
  • 訪日オーストラリア人と訪日カナダ人で滞在目的やハイシーズンに違いがあるため、それぞれに合ったインバウンドプロモーションを行う必要がある。

以上4点がオーストラリアとカナダのインバウンドを考える際に重要な要素になると言えます。

オーストラリアとカナダは今後インバウンド事業において大きな成長が期待される重要なターゲット国です。それぞれの訪日観光客の傾向や特徴を把握し効果的なプロモーションを行う必要があります。

オーストラリアでのインバウンドプロモーションに関するご不明点やご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

この記事を書いた人:柳  花歩
和歌山県出身。津田塾大学で翻訳と教育学を学んだのち、英語教師として就職。現在はワーキングホリデーでシドニーに滞在中。

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