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2020年7月訪日オーストラリア人データまとめ

By SCP編集部 in ツーリズムデータ |

2019年12月に最初の感染例が確認されて以来、いまだ収束の糸口がつかめない新型コロナウイルスだが、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学は、8月25日時点で新型コロナウイルスの累計感染者は世界で約2,344万人まで上り、死者数は80万人と発表した。また、8月24日に香港大学の研究グループが国内で世界初の再感染例を確認したとし、ワクチン摂取による集団免疫が確立されたとしても、感染症の流行は長引く可能性があるとの見解を示した。

国際連合は新型コロナウイルスの世界的大流行により、2020年の世界の国際観光業による輸出収入は前年度と比べて約79%減少するとの見通しを発表、観光業に従事する約1.2億人が失職する危機にあるとも示唆している。その一方で世界観光機関(UNWTO)は、7月19日時点で全世界の4割が国際観光客の受け入れを再開したと発表。観光への経済的依存度が高いとされるヨーロッパや島嶼国などの地域を中心に渡航・入国制限などの規制緩和を進められている。

日本政府観光局(JNTO)が発表した2020年7月の訪日外客数は3,800人だった。日本において、感染防止対策の一環である検疫強化や査証の無効化などの水際対策が継続して実施されていることに加え、各国で実施されている海外渡航制限や外出規制が要因として挙げられる。現在、観光産業は窮地に立たされているが、一方で日本政策投資銀行(DBJ)と日本交通公社(JTBF)が欧米豪居住者を対象にポスト・コロナにおいて観光旅行したい国・地域の意向調査を実施したところ、日本はアメリカに続く第2位であることが判明。新型コロナウイルス収束後も日本は旅行先として根強い人気を誇ることが期待されている。

日本政府観光局(JNTO)訪日外客数の集計・発表

https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/pdf/200821_monthly.pdf

7月の訪日オーストラリア人は50人(前年同月比99%減)。3月にオーストラリア政府が発令した海外渡航禁止令は継続され、また日本側からもオーストラリアは検疫強化・上陸拒否の対象地域として指定されている。一時は一部の州内および州外旅行も許可されたが、メルボルンを感染第2波が襲来。現在、メルボルンを州都とするビクトリア州は厳格なロックダウン(都市封鎖)が敷かれ、同州首相は州独自で発令した緊急事態宣言を1年延長し、制限措置の延長や再導入を可能にしたいとの考えを明かしている。

連邦政府もワクチンが完成しなければ国際観光の再開は困難だと示唆し、8月19日にモリソン首相現在イギリスで共同開発されているワクチン候補を国内製造することで合意。医療的な例外を除いて、国民に新型コロナウイルスのワクチン摂取を義務付けるべきだと主張。7月23日に政府財務省が発表した連邦予算見通しでは、ワクチンが開発されたとしても、現在強いられている国境制限は「段階的に」解除されるべきとし、その実現は早くても2021年1月以降だとの見解を示している。また、2021年6月30日までは、海外からオーストラリアへ入国するすべての渡航者に対して14日間の隔離措置は継続すると想定した上で、国際観光の再開は早くても2021年7月以降になるとの見通しを立てている。

JNTOシドニー事務所田中所長のコメント

コロナ禍における情報発信に関しては日本における「安全性」を訴求することで、旅行者に安心感を持っていただくことが大切です。ただそれ以上に、強い目的意識を持って旅行先として選んでいただけるようにそのエリアでしかできない体験・魅力の継続的な発信も重要です。また、今の段階から現地エージェントと密なコミュニケーションを図ることで、「オーストラリアに関心があってプロモーションをしている」との姿勢を示すことも必要不可欠です。その積み重ねがポスト・コロナにおける早期需要回復に繋がるのではないかと思います。新型コロナウィルス対策に慎重な姿勢を示しているオーストラリアでは現在、国内旅行にも制限が敷かれています。海外渡航規制が解除されるには、もうしばらく時間がかかることが予想されますが、旅行欲が非常に強い国民性なので、皆さまと協力しながら継続的に市場へアプローチし、送客に繋げたいです。

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