世界のコロナ感染者が再び増加傾向に転じているなか、8月1日からニュージーランドが国境を完全に再開するなど、一部の国・地域を除いて世界的に規制緩和が進んでいる。IATA(国際航空運送協会)によると、2022年6月の世界の航空需要は力強い回復を見せ、パンデミック前の2019年同月比では29.2%減と7割を超えるところまで戻りつつある。今後アジア太平洋の門戸がさらに開かれれば、旅客需要の回復も早まる見通しであるが、同時にインフレや金利の上昇により航空需要の伸びが鈍化する懸念も高まっている。新型コロナ感染状況や出入国規制の変化、ウクライナ情勢による航空便への影響などを踏まえ、オーストラリア・日本ともにポスト・コロナにおける旅行ニーズへの対応などに努めていく必要がある。
オーストラリアの現況
オーストラリアは厳格なコロナ規制を撤廃し、今年に入りコロナとの共存に政策転換している。6月下旬には、BA.5の感染拡大による新規感染者数が増加していたが、7月下旬よりその数は減少傾向にあり、既にピークアウトしたとみられている。こうした現状から、現在オーストラリアに渡航する外国人観光客数は、新型コロナウイルス感染拡大前の3分の1の水準まで回復した。公式統計によると、オーストラリアの累計感染者数は、世界的なワクチン接種率の高さとコロナ感染流行初期の厳格な規制により諸外国をはるかに下回る水準となっている。
オーストラリアの国境について
オーストラリアはこれまで、新型コロナのワクチン接種完了を入国の条件としていたが、7月6日よりこの措置を撤廃している。これにより入国規制がすべて撤廃され、ワクチン未接種者も特別な許可を得ずとも渡航できるようになり、コロナ禍で大打撃を受けた観光業の回復に向けて様々な施策が講じられている。ジェットスター航空は7月末から、約2年4カ月ぶりに「成田=ケアンズ」線と「関西=ケアンズ」線、8月2日には「成田=ゴールドコースト」線を週3便で再開。同社によると、成田発ケアンズ行き再開初便はほぼ満席だった模様。この他にも、全日空は6月まで週5便だった「羽田=シドニー」線を7月初めから1日1便に増便し、日本航空も10月から「羽田=シドニー」線を1日1便に増便するなど、オーストラリア・日本間の往来が活発化している。ただし、オーストラリア連邦政府は家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)が持ち込まれる可能性を危惧し、オーストラリアへ帰国する旅行者に注意を喚起している。
オーストラリアから日本への入国について
日本政府は6月から2年ぶりに訪日外国人観光客の受け入れを再開しているが、添乗員付きパッケージツアーでの入国を条件とし、ツアー参加者は日本政府が策定した感染拡大予防ガイドラインの遵守や医療費補償が付いた海外旅行保険加入などが求められている。訪日外客数においては4か月連続で10万人を上回ったものの、入国制限の影響などにより訪日外客数は144,500人にとどまっている(2019年同月比 95.2%減)。
2022年7月訪日オーストラリア人数
オーストラリアからの入国の際には、日本政府による検疫強化(陰性証明書の提示など)や査証免除措置の停止が適用されている。コロナ感染流入リスクが最も低い「青」区分として観光目的の新規入国が条件付きで認められており、日本への直行便数も前年同月と比較して回復傾向にあることから、2022年7月の訪日外客数は144,500人と4カ月連続で着実な増加傾向にある。ただ、その他一般観光客に対する入国制限が影響し、2022年7月の訪日オーストラリア人数は2,300人にとどまっている(2019年同月比 93.4%減)。
JNTO田中所長のコメント
8月31日の岸田総理による水際対策緩和に向けた発言については、オーストラリアでも前向きに捉えられており、多数の旅行会社が問い合わせに追われていると聞いております。
JNTOシドニー事務所では、8月22日にメルボルン、また24日にシドニーにて、オーストラリアの旅行事業者と日本側サプライヤーを結ぶ対面式の商談会を開催いたしました。
オーストラリア側の参加者は約100名、日本からは21団体が出展し、活発な商談が展開されていました。
参加者の皆さまからは、「非常に有益な機会だった」や「新たな地域やコンテンツを知るのに役立った」などの声をいただいています。
今後、水際対策がますます緩和されれば、さらに訪日旅行需要が高まることが予想されます。
ポスト・コロナにおいて、特に関心度が高いサステイナブルツーリズム、アドベンチャートラベルや高付加価値に関連したコンテンツを中心に、弊所では情報発信や様々なプロモーションを展開してまいりますので、引き続きご協力のほどお願いいたします。
コメントを残す