NEWS

2022年9月訪日オーストラリア人数まとめ/オーストラリアの現況と今後の国境再開について

By SCP編集部 in 速報 |

世界的に新型コロナ感染症に関する規制緩和が進んでおり、日本の外務省も感染状況の改善やワクチン接種状況の進展などを踏まえ、2022年10月19日に海外渡航者向けの「感染症危険情報」について台湾やオーストラリアなど76カ国・地域をレベル2(不要不急の渡航自粛)からレベル1(渡航注意)へと引き下げた。今回の見直しにより日本ではすべての国・地域がレベル1となっている。10月11日以降は、観光目的の個人旅行による入国が解禁され、また外国籍の日本入国に関する新型コロナ水際対策の規制が撤廃されるなど、約2年半ぶりに日本の国境が再開した。これに伴い日本では今後、持続可能な観光への取り組み強化、ポストコロナの旅行ニーズへの対応といった地域の受け入れ環境整備の加速化や入国手続きなどの実用情報の的確な発信とともに、訪日観光の柱となるサステナブルツーリズム、アドベンチャートラベル、高付加価値旅行の情報発信やMICE誘致などのプロモーションをはじめとするインバウンドの本格的な回復に向けた取り組みを強化していくことが求められる。

オーストラリアの現況

オーストラリアは今年に入り新型コロナとの共存に政策転換している。連邦政府は新型コロナ感染者に求めていた5日間の自己隔離についても2022年10月14日より撤廃。新型コロナ感染者の自己隔離義務を含む公衆衛生規則を制定・実施するのは、各州・準州政府によって行われているが、VIC州とQLD州も同日10月14日より新型コロナ感染が発覚した場合の自己隔離義務を撤廃した。カンタス航空は、2022年7~12月期上半期の税引き前利益が黒字になる見込みを発表。コロナ禍を経て足元で旅行需要が回復し、国内線の収入はコロナ前を超えて推移するが、半期ベースで税引き前損益が黒字となるのは2019年7~12月期以来6半期ぶり。足元では国内線も好調でビジネス需要はコロナ前を超え、観光客はさらに伸びている。国際線の輸送能力は2022年7~12月期にコロナ前の61%、23年1~6月期は同77%を見込む。ただし、燃料費の高騰に加えて高止まりするインフレ率や利上げによる住宅ローン負担の増加を受け、消費低迷リスクなど先行きには不透明感も漂う。

オーストラリア政府観光局(TA)では、10月20日から2016年以来となる新グローバルキャンペーン開始し、日本や米国など主要市場で展開する。オーストラリアの広さや奥深さ、フレンドリーなオージー流ホスピタリティを伝えることでその魅力を再発見してもらう。発表会に先立ち、オーストラリア貿易・観光大臣とオーストラリア政府観光局(TA)総局長らが来日し、日豪間の観光交流が復活していくことに期待感を示した。豪QLD州政府観光局も新たなブランドコンセプトを発表し、ポストコロナの新たな旅行ニーズに応えていく模様。2032年開催予定のブリスベン五輪に向けた長期的なブランド戦略としてオンラインを中心に訴求を強化していく。また、今年5月に同観光局が実施した消費者調査では、日本人旅行者の間で「刺激」「発見」「つながり」「癒しを感じる」「元気を取り戻したい」という意識が強く出た結果を受け、州政府観光局として日本市場においてサステナブルやリジェネラティブ(再生型)などの観光コンテンツも積極的に提案していく考えだ。TAが実施した最近の調査では、今後2年間のうちにオーストラリアへの渡航意欲がある日本人は8%、今後4年間では11%と、韓国、北米、英国など他の市場と比べると低くなったが、日本では水際対策が継続していた中での調査だったため、豪QLD州観光局マーケティング部門責任者は楽観位する見解。その上で、2032年のブリスベン五輪に向けて自信を示した。

オーストラリアの国境について

入国規制がすべて撤廃されたオーストラリアでは、ワクチン未接種者も特別な許可を得ずとも渡航できるようになり、コロナ禍で大打撃を受けた観光業の回復に向けて様々な施策が講じられている。駐日オーストラリア大使公邸に旅行業関係者を招いた10月11日の新グローバルキャンペーン発表イベントでは、TAは「コロナ前には国別で5番目となる旅行者を受け入れていたオーストラリアにとって日本は非常に重要な市場」とし、キャンペーンでは需要を喚起するだけでなく関係者との協働で予約に結びつくことを重視していると説明した。日豪間の観光リカバリーには双方向の需要回復が不可欠であるとし、水際対策の緩和はその大きな追い風になると期待を示している。日豪間の航空路線はコロナ前の2019年の水準には未だ回復していないものの、日本の水際対策の緩和に伴い双方向の旅行需要が回復していく見込みで、各調査予測をもとに2024年末までにはコロナ前に戻るのではないかとの見方が示されている。2022年12月1日からはカンタス航空が羽田・ブリスベン線を週3便で就航するなど、その動きはすでに現れているところだ。

オーストラリアから日本への入国について

日本政府は2022年10月11日以降、すべての帰国者・入国者について入国目的の如何を問わず、原則として入国時検査を実施せず、入国後の自宅または宿泊施設での待機、待機期間中のフォローアップ、公共交通機関不使用等を求めないこととした。ただし、現在もワクチンの接種証明書(3回)または出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書のいずれかの提出をすべての帰国者・入国者に対して求めている。入国者総数の上限も撤廃され、2022年9月の訪日外客数は206,500人と、同年3月の外国人の新規入国再開以来初めて20万人を上回った(2019年同月比 90.9%減)。

日本航空(JAL)では大幅な水際対策の緩和を受けて、訪日客外国人旅行向けのプロモーションを本格的に再開し、日本政府観光局(JNTO)との連携によるキャンペーンを通じて訪日意欲を高めていく考えだ。2017年1月から販売開始したJAL訪日ダイナミックパッケージの販売も再強化に乗り出し、販売可能地域を2022年9月末時点の11地域から順次拡大していく。JNTOでは今春以降、日本の段階的な水際対策の緩和に併せてフェーズ別に活動を進めてきた。そのため、今回の個人旅行解禁で訪日観光が本格再開することを踏まえ、オーストラリアをはじめとした海外メディアや旅行会社の招請や広告展開を積極化して訪日旅行の復活を目指す。JNTOによる旅行・航空会社との共同広告は2023年3月までに24市場で実施される予定で、水際対策緩和前に実施していたイメージ訴求や情報発信から販売促進の広告宣伝に移行する。訪日旅行喚起に向けた広告は、欧米豪、アジアなどすべての重点・準重点市場で実施される。

2022年9月訪日オーストラリア人数

2022年9月の訪日外客数は206,500人と、同年3月の外国人の新規入国再開以来初めて20万人を上回った。9月時点では1日あたりの入国者数に上限もあり、訪日オーストラリア人数は4,700人にとどまった(2019年同月比 92.2%減)が、10月19日以降の日本入国に関する水際緩和で日豪双方向の回復に期待が高まる。ANAの2023年3月期第2四半期連結決算によると、国際線で各国の入国制限の緩和が進んだことにより旅客需要が急速に回復し、航空事業を中心に増収。売上高は前年同期比83.4%増の7,907億円となり、上半期としては3年ぶりに黒字に転換した。国際線旅客では北米/アジア間の接続需要の取り込みに加え、日本発のビジネス需要や駐在員の一時帰国需要が回復基調となったことから、利用率は前年同期の23.8%から72.8%に大きく改善した。

JNTOは10月26日の定例記者会見で、前述の水際対策の大幅な緩和を受け、訪日旅行の再開に向けたプロモーションを本格化すると発表した。JNTO理事は、日本よりも水際対策の撤廃が早かった国々では自国へのインバウンド回復に向けた取り組みが積極的に行われており、国際競争での遅れを取り戻さなければならないとし、招請事業や広告展開、イベントや商談会などを積極的に進めていく考えを示した。訪日観光の本格再開を踏まえ、JNTOでは今後「日本への招請事業」「旅行会社・航空会社との共同広告」「リアル開催イベントや商談会の主催・参加」「訪日旅行喚起に向けた広告」の4つの軸に重点を置いたプロモーション活動を展開し、水際対策緩和後のリアルな日本を紹介することで訪日ツアー造成につなげる。早期に「観光消費額5兆円」を達成することを目指し、高付加価値旅行やアドベンチャートラベルの推進に注力していく方針だ。具体的には、長期滞在を好む欧米豪市場やスキーなどアクティビティで消費する旅行者を重点的に誘致していく。

JNTOシドニー事務所田中所長のコメント

日本の水際対策が緩和され、早1か月がたちました。
解禁された当初は、FIT旅行でも本当に行けるのか、入国に対しての規制などの問い合わせが多くありましたが、最近では、具体的に行きたい場所に対するアクセス方法などについてのお問い合わせが増加しています。
当所では、秋の紅葉シーズンかつ、訪日旅行の再認識をしていただくために、10月から11月にかけて、数多くの招請旅行を実施しています。
既に、帰国した旅行会社、メディアからのフィードバックからは、日本人が親切で地元の人との交流がとても良かったという声が多く聞かれています。
また、改めて日本食の美味しさ、新たな体験型コンテンツを体験し、より深く日本を知る事ができたなどのコメントも頂きました。
ネガティブなコメントは多くは無いのですが、Tatooフレンドリーの温泉や、ヴィーガン、ベジタリアンなどの選択肢がよりあると良いという声も聞かれています。
オーストラリア人は、口コミで次の旅行目的地を決める傾向にあります。
既に訪日された方の満足度を高める事が、次の訪日客誘致に繋がります。
引き続き、受入態勢の充実、そして何よりも温かい地元の方のおもてなしの意識向上など取り組んでいただきますようお願いいたします。

SNS

関連する記事

コメントを残す