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インバウンドとは?観光業界におけるインバウンドと現状

By SCP編集部 in オーストラリア基本情報

インバウンドって何?観光業界におけるインバウンドと現状は?

訪日外国人旅行者の増加にともない「インバウンド」という言葉が多くの方に認知されるようになりました。しかし、「インバウンド」と一概に言っても、業界によって意味や認識もまったく違ってきます。そこで、観光業界における「インバウンド」の基礎から日本のインバウンドの現状まで解説していきます。

 

インバウンドとは?

近年よくニュースやネットなどでもインバウンド対策やインバウンド客などを見聞きする機会が増えてきました。

「インバウンド」は英語のinboundに由来しており、日本語では「入ってくる、内向き」を意味します。ビジネスシーンや観光、IT、広告などそれぞれの業界・分野によって「インバウンド」という言葉の意味が変わってきます。

例えば、ビジネスシーンにおけるインバウンドの意味は「顧客が自発的に企業に接触してくる」ことを指します。一方IT分野では、「受信」の意味で使用されており、インバウンド通信、インバウンドトラフィックなどの関連用語があります。

 

観光業界におけるインバウンドとは?

では、観光業界においては「インバウンド」とはどういった意味合いで使用されるのでしょうか?観光業では「インバウンド」という言葉が頻繁に使用され、「訪日外国人旅行」を意味します。

観光分野の「インバウンド」関連の言葉

  • インバウンド客
  • インバウンド対策
  • インバウンドビジネス
  • インバウンド消費
  • インバウンド市場
  • インバウンド需要

など

 

観光 インバウンドの起源(歴史)

日本におけるインバウンド観光は、遡ること1893年(明治26年)に訪日外国人や海外の要人をもてなす目的で民間機関「喜賓会」が誕生したことから始まります。1912年(明治45年)には、現在のJTB(ジャパン・ツーリスト・ビュロー)が設立され、1964年に開催された東京オリンビックや1970年の大阪万博の開催によりインバウンド市場はさらに成長しました。

しかし、2000年代前半までは500万人程度と低迷。そこで、日本政府は2003年にビジット・ジャパン・キャンペーンを含む「外国人旅行者訪日促進戦略」を発足しました。

さらに、2007年には観光立国推進基本法施行、2008年の観光庁設置と、立て続けに施策がとられたことで、2013年以降の訪日外国人客数は急増し、2015年には約1,973万人を記録しました。その後、リーマンショックや東日本大震災などの影響によって激減した時期もありましたが、インバウンド市場は順調な回復を見せ、2019年の訪日外国人客数は約3,188万人と過去最高数を記録しました。

 

観光 インバウンドの見通し

観光庁は、観光立国の実現に向けて、新たな方針「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定し、2030年に訪日外国人客数6,000万人の目標達成を目指してさまざまな施策を展開しています。

2020年の訪日プロモーション方針として、訪日外国人旅行者数4000万人、8兆円の訪日外国人旅行消費額を目標にしています。更に、アジアだけではなく欧米豪の訪日インバウンドの成長が見込まれる市場からの誘客を強化することが必要と述べており、新規需要開拓のためにも欧米豪からの外国人旅行者の誘致がますます必要不可欠です。

 

観光 インバウンドの動向〜2020年訪日インバウンドデータ〜

訪日外国人数

1989年 283万5,064人
1999年 443万7,863人
2009年 678万9,658人
2017年 2869万1,073人
2018年 3119万1,856人
2019年 3188万2,100人

出典:日本政府観光局(JNTO)「年別訪日外客数,出国日本人の推移」

上記のグラフからもわかるように、訪日外国人旅行者は年々増加しており、2018年には過去最高となる、3000万人を突破しました。2021年には東京オリンピックも控えており、今後のインバウンド市場の大きな伸びが期待できます。

国別訪日外国人数

出典:日本政府観光局(JNTO)訪日外客数

国別に訪日旅行者数では、中国をはじめとする韓国、台湾、香港など近隣アジア諸国からの旅行客が最も多く、特に2014年から2018年にかけて急増しています。

そのため、インバウンド市場はアジアからの旅行客に依存しているとも言われており、近年、上昇傾向を見せている欧米豪へターゲットをシフトする動きが出てきています。

訪日外国人が求めているもの

1位 日本食を食べること:26.1%
2位 自然・景観地観光:14.8%
3位 ショッピング:13.9%
4位 テーマパーク:7.9%
5位 温泉入浴:7.5%

出典:日本政府観光局(JNTO)「2018年観光庁消費動向調査」

2015年に「爆買い」が流行語にも選べれ注目を集めたように、アジアからの旅行客にとってショッピングは関心の高いものでしたが、ここ数年、日本食や自然・景観観光などの「コト」消費に注目が集まっています。日本政府観光局(JNTO)の調査によると外国人旅行者が日本渡航の際に、最も期待しているのは日本食、次いで自然・景観地観光があげられました。

今後の観光インバウンド対策では、「モノ」ではなく「コト」消費を求めている訪日外国人旅行者にいかに「コト」(経験など)をアピールできるかが鍵となります。

訪日外国人に人気の観光地

訪日外国人に気観光スポット

1位 USJ
2位 東京ディズニーランド
3位 伏見稲荷大社
4位 東京ディズニーシー
5位 大阪城
6位 東京タワー
7位 明治神宮
8位 東京スカイツリー
9位 奈良公園
10位 竹林の小径

出典:RJC「インバウンドレポート 2018

USJや東京ディズニーランドへは東南アジアからの訪日客が7割りをしめるなど、アジアからの旅行客に非常に人気のスポットです。両施設とも、海外からの入国の窓口でもある成田国際空港や関西国際空港から近いことが集客の大きな要因であると考えられます。

3位の伏見稲荷大社は、欧米豪やその他の国の旅行者からの人気が高く鳥居など日本の文化を感じられるスポットが欧米豪の人々に人気の理由です。

 

日本と他国の観光 インバウンド

オーストラリアと日本のインバウンド

国際観光収入上位国

観光収入上位国 10億ドル
1位 アメリカ 214
2位 スペイン 74
3位 フランス 67
4位 タイ 63
5位 イギリス 52
6位 イタリア 49
7位 オーストラリア 45
8位 ドイツ 43
9位 日本 41
10位 中国 40

国際観光収入ランキングでは7位にオーストラリア、8位に日本がトップ10入りしており両国共に観光産業の重要性がうかがえます。

 

国際観光到着者数(オーストラリア) 国際観光到着者数(日本)
2010年 587万 861万人
2017年 881万人 2,869万人
2018年 924万人 3,119万人

出典:国連世界観光機関(UNWTO)

オーストラリアへの観光客数は日本の3分の1ほど(924万人)に対して、オーストラリアへの国際観光収入は450.3億(米)ドルと非常に観光収入が高いのが特徴ですその背景として、オーストラリアでは観光を国の重要な産業として、質の高い観光体験の造成など効果的なマーケティング戦略を実施しています。

 

欧米豪の重要性

従来のインバウンド市場では、主に中国、韓国、香港など近隣アジア国に依存しているとも言われており、他地域からの誘致が大きな課題となっています。そこで、注目を集めているのが欧米豪です。

欧米豪からの旅行客の特徴として、アジア諸国に比べ滞在日数が長く、一人あたりの消費額も高いことがあげられます。

滞在日数 宿泊費 飲食費 交通費 娯楽費 買い物代 総額(円)
中国 6.9 45,368 45,368 15,296 6,771 108,800 212,981
韓国 3.2 25,012 21,017 7,706 3,692 17,942 75,454
台湾 5.1 32,902 26,179 13,360 4,164 41,418 118,050
香港 5.7 46,422 36,962 16,200 4,408 51,822 155,911
タイ 5.9 38,880 30,159 15,004 4,497 41,994 130,912
アメリカ 9.9 83,794 48,545 25,950 8,710 23,396 190,582
イギリス 13.1 103,364 62,180 33,292 22,183 20,443 241,530
オーストラリア 12.8 100,192 61,747 36,128 19,348 31,714 249,128

訪日客全体では、平均滞在日数は5.9泊に対し、欧米豪からの旅行客は平均12.7泊と長期滞在が主流であることがわかります。

また、訪日オーストラリア旅行者の一人当たりの消費額は、中国をおさえ1位にランクインしているのも注目すべきポイントです。

  • 1位オーストラリア:24万9000円
  • 2位スペイン:23万7000円
  • 3位中国:22万5000円

長期滞在、一人あたりの消費額の高い欧米豪をターゲットにするこで今後大きなリターンが期待できます。

出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査2019」

観光 インバウンド対策

市場調査

訪日外国人客へのプロモーションにはそれぞれの国の文化・環境を理解する必要があります。

例えば、オーストラリアでは長期での休暇を取得する文化が根づいています。実際に、訪日オーストラリア人の2割りが1ヶ月以上日本に滞在するなど、長期滞在の傾向があります。そのため、オーストラリア人に向けてプロモーションを実施する場合は、長期滞在に適した宿泊プランやディスカウント情報を含めることで、興味を引くことができます。

このように、国が違えば、訴求できるポイントも変わってきます。それぞれの国の文化、環境を理解し、効果的なプロモーションを実施しましょう。

その他、プロモーションをする前に知っておきたい、「自社サービスの強み」や「競合他社」についてはこちらをご参照ください。

多言語対応

インバウンド対策では多言語対応が欠かせません。特に多言語対応ウェブサイトを開設することで、日本語話者ではない外国人旅行客にも商品・サービスの認知向上をはかることができます。

ウェブサイトの多言語対応にあたり、グーグル翻訳などの無料翻訳ツールを利用して、翻訳を考えている方がいるかもしれませんが、これらの無料ツールでは翻訳精度が非常に低く、伝えたいことが伝わらない可能性が往々にしてあります。

また、飲食店ではメニューを言語化することはもちろんのことですが、メニューに写真を掲載するだけでも、海外からの旅行者はどのような料理がくるのかわかるため、注文もしやすくなります。

優先言語

2019年、国・地域別訪日外国人数ランキング

順位 国・地域 人数
1位 中国 959万
2位 韓国 558万
3位 台湾 489万
4位 香港 229万
5位 アメリカ 173万

出典:国籍/月別訪日外国客数(2003年〜2020年):日本政府観光局(JNTO)

 

香港、台湾などの中国語を母国語としている国からの訪日外国人客が多いことが分かりますが、中国語の多言語化で特に注意したいのが「繁体字」と「簡体字」の違いです。

繁体字は香港、台湾、マカオなどで主に使用されており、簡体字は中国本土やシンガポール、マレーシアなどで使用されています。それぞれの違いを理解し、「繁体字」と「簡体字」のどちらを優先すべきか検討するといいでしょう。

英語はアメリカをはじめ、英語圏だけではなくシンガポール、インド、フランス、スペインなど英語教育がさかんである国では、英語を問題なく話せる人は珍しくはありません。そのため、英語を最優先言語として多言語化することで多くの外国人旅行者に対応することができます。

その他、必要とされる言語としては韓国語などもあげられます。

今後ますます増加するであろう訪日外国人客を取り組むためにも英語と中国語への対応を優先することをおすすめします。

プロモーション (ローカルメディア)

現地で影響力のあるメディアへの広告またはタイアップ記事を出稿をすることで、狙っているターゲットに確実に情報を届けることができます。

ローカルメディアを活用したプロモーションは認知拡大・行動喚起に非常に効果的ですが、新聞・ウェブ・雑誌・テレビなど様々な媒体の中からターゲットにそった適切なメディアの選定は慎重に検討を重ねる必要があります。

 

プロモーション(インフルエンサー)

インフルエンサーを活用した施策は、従来の広告に比べユーザーからの信頼が高く好意的な情報として受け入れられやすい傾向があります。

インフルエンサーを活用したプロモーションはローカルメディアとのタイアップ同様に、インフルエンサーの選定が非常に重要です。適切ではないインフルエンサーを活用したプロモーションを実施してしまうと、ブランドのイメージを崩してしまう可能性があるので注意が必要です。

 

 

サザンクロス ・プロモーションズ

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