By SCP編集部 in オーストラリア基本情報
以前であれば訪日外国人旅行者の訪問地は、東京や大阪、京都などのゴールデンルートが一般的でしたが、近年では訪日観光客のリピーターを中心に、旅行者は新たな体験を求めて地方への訪問率が高まっています。
観光庁の調査によると、2017年の外国人観光客のうち61.4%が訪日観光客のリピーター(出典:日本政府観光局(JNTO))であることが分かっており、今後、地方を訪れる訪日旅行者の増加が予想される状況下で、訪日観光客需要を逃さないためにもいちはやく訪日観光客へ向けたプロモーションを実施する必要があります。
しかし、「訪日旅行者・外国人に向けたプロモーションを始めたいが何をすればいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか?
本記事では、4つのインバウンドプロモーションのポイントをおさえて紹介しています。参考にして訪日観光客(外国人)へのプロモーションにお役立てください。
インバウンドプロモーションとは?
インバウンドプロモーションとは、訪日外国人観光客へ対して、自社の商品やサービス、観光スポットのPRのことを指します。2003年に外国人の訪日を促して経済の活性化を. 図る「観光立国」宣言が当時の政府によってなされたインバウンドプロモーションは、訪日外国人客増加のため様々な施策が実施されています。
訪日外国人観光客数
1989年 | 283万5,064人 |
---|---|
1999年 | 443万7,863人 |
2009年 | 678万9,658人 |
2017年 | 2869万1,073人 |
2018年 | 3119万1,856人 |
2019年 | 3188万2,100人 |
訪日外国人旅行者は年々増加しており、2018年には3000万人を突破しました。2021年には東京オリンピックも控えており、今後のインバウンド市場の大きな伸びが期待できます。
さらに、観光庁は観光立国実現に向け、新たな方針「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定。これに基づき、2030年に訪日外国人客数6,000万人の目標数値達成を目指して様々な施策を展開していいます。
2019年の国別訪日外国人観光客数
順位 | 国名 | 人数 | 伸び率 |
1 | 中国 | 9,594,300人 | 14.5% |
---|---|---|---|
2 | 韓国 | 5,584,600人 | -25.9% |
3 | 台湾 | 4,890,600人 | 2.8% |
4 | 香港 | 2,290,700人 | 3.8% |
5 | アメリカ | 1,723,900人 | 12.9% |
6 | タイ | 1,319,000人 | 16.5% |
7 | オーストラリア | 621,800人 | 12.6% |
8 | フィリピン | 613,100人 | 21.7% |
9 | マレーシア | 501,700人 | 7.1% |
10 | ベトナム | 495,100人 | 27.3% |
11 | シンガポール | 492,300人 | 12.6% |
12 | イギリス | 424,200人 | 27.0% |
13 | インドネシア | 412,800人 | 4.0% |
14 | カナダ | 375,200人 | 13.5% |
15 | フランス | 336,400人 | 10.3% |
2019年の訪日旅行者の全体の70.1%を東アジア諸国、欧米豪は13.0%の比率となっています。
2019年に開催されたラグビーワールドカップの影響により、欧米豪からの外国人旅行客が増加しています。アジア諸国からの外国人観光客への依存が高いインバウンド市場ですが、新たな顧客獲得のためにも欧米豪は注目すべきターゲットです。
訪日外国人観光客消費額
宿泊費 | 交通費 | 娯楽費 | 買い物代 | 総額(円) | |
中国 | 47,854 | 16,834 | 7,998 | 112,104 | 224,870 |
韓国 | 24,974 | 7,636 | 3,917 | 21,549 | 78,084 |
台湾 | 35,312 | 13,548 | 5,059 | 45,441 | 127,579 |
香港 | 45,625 | 16,683 | 5,063 | 50,287 | 154,581 |
タイ | 36,836 | 15,033 | 4,416 | 23,406 | 124,421 |
アメリカ | 82,286 | 27,318 | 7,865 | 22,641 | 191,539 |
イギリス | 100,691 | 33,172 | 8,341 | 32,783 | 220,929 |
豪州 | 99,175 | 34,892 | 13,171 | 32,688 | 242,041 |
出典:日本政府観光局(JNTO)「2018年観光庁消費動向調査」
日本政府観光局の調査によると、2019年の訪日外国人全体の旅行消費額は4兆8,135億円(前年比17.3%)、訪日外国人1人当たり旅行支出は15万8,531円と推計しており、そのなかでもオーストラリア(24万8,000円)が最も高い消費額でした。
長期滞在でも知られている訪日オーストラリア人が、日本にもたらす経済効果は絶大であり、観光業だけでなく、百貨店などの小売業やサービス業からも脚光を浴びています。
訪日外国観光客を獲得するためのプロモーション4つのポイント
「インバウンド向けのプロモーションをはじめたいが、何をすればいいかわからない」という方へ、成功の鍵は4つのプロモーションのポイントにあります。インバウンド需要を逃さないためにも4つポイントを押さえて効果的なインバウンドプロモションを実施しましょう。
環境分析
自社サービスの強みを理解する
訪日旅行者を誘致するためのプロモーションの第一歩として、自社サービス・商品をしっかりと分析し理解する必要があります。その上で、考えたいのが、外国人旅行者からのニーズはあるのかどうか、既存のサービス・商品は外国人に受け入れられうかどうかなど、国内でプロモーションするのとはまた違った目線で分析する必要があります。
分析の際には「SWOT分析」を活用するとうまくまとめることができます。
SWOT分析とは、マーケティングや経営戦略や計画の現状を分析するために用いられる分析手法です。自社の内部環境だけではなく、外部環境ふまえた分析をすることが可能です。自社の強みを知るため、ビジネスの機会を発見するためにも非常に有効性の高い分析ツールです。
S:強み(内部的な強み=Strength)
W:弱み(内部的な弱み=Weakness)
O:機会(外部的な追い風=Opportunity)
T:脅威(外部的な向かい風=Threat)
目標設定
認知拡大・行動喚起
インバウンドプロモーションの目的は、大きく分けて2つあります。
- サービス・商品をより多くの人に「認知」させる
- サービス・商品の購入のための「動機づけ」をする
「認知」は、消費者の購買プロセスを非常にシンプルに表したAIDA (アイダ)の法則でも最初のステップであり最も重要なステップです。
さらに、「認知」だけでは、最終ステップである「行動」にはつながりません。そのため消費者の欲求を掻き立たせるプロモーション内容を実施し、「動機付け」が必要です。
【AIDA(アイダ)の法則】
- Attention(注意) 顧客の注意を引く
- Interest(関心) 顧客に商品を訴求し関心を引く
- Desire(欲求) 顧客に商品への欲求があり、それが満足をもたらすことを納得させる
- Action(行動) 顧客に行動を起こさせる
※AIDA(アイダ)の法則:AIDA(アイダ)の法則(AIDMAの法則の類似した用語)は、1920年代にセント・エルモ・ルイス(St. Elmo Lewis)氏が明確化した消費者行動のプロセス。
基本戦略
ターゲットを設定する
プロモーション手段を選択する前に、誰をターゲットにするか決める必要があります。「中華系の旅行客が多いからターゲットは中華圏」「とりあえず欧米豪」など、なんとなくでターゲットを決めてしまいる方も多いのではないでしょうか。
まず、インバウンドプロモーションを実施する際のターゲットとして大まかに3つのカテゴリーに分けられます。
- 訪日を予定している人
- 初めて訪日する人
- 何度も訪日している人
しかし、ターゲット設定はこれで終わりではなく、さらに細かいターゲットを設定することで、高いプロモーションの効果が期待できます。
住んでいる国・都市・エリア、年齢、家族構成、趣味、経済レベル(職業など)、訪日目的など、ターゲットとなる人物像を細かく想定しそれぞれのターゲットにあったコンテンツを配信することで、ピンポイントに情報を伝えることができます。
プロモーション
最後のポイントとしては、どのようにターゲットに伝えるかを決める必要があります。
- SNS
- インフルエンサー
- 動画配信
- メールマガジン
- ウェブサイト
- マスメディア広告
- ガイドブック
- パンフレット
さまざまなプロモーション手段が考えられますが、これらのプロモーションの中からターゲットに情報が届き、受け入れやすいものを選ぶことが重要です。
そこで、サザンクロス ・プロモーションズ がおすすめするプロモーションを厳選し、紹介します。
サザンクロス ・プロモーションズ おすすめのプロモーション4選
ローカルメディア
ターゲットとした国の現地で影響力のあるメディアを活用することは、認知拡大・行動喚起を促すためにも、非常に効果的なプロモーション手段のひとつです。
1位 個人のブログ 30.6%
2位 SNS(フェイスブック/微信など)23.7%
3位 自国の親族 17.6%
4位 口コミサイト(トリップアドバイザーなど)15.3%
5位 旅行会社ホームページ 14.1%
出典:日本政府観光局(JNTO)「2018年観光庁消費動向調査」
実際に、訪日旅行者が出発前に得た情報源で役に立った情報源ランキングを見てみると、個人ブログが36%の1位でした。現地のブログを含めたメディアを活用するのは、訪日旅行者に「旅マエ」から情報を発信できることもあり、インバウンドプロモーションを実施する際には欠かすことのできないプロモーションのひとつです。
また、新聞・ウェブ・雑誌・テレビ・ブログなどさまざまな媒体のなかからターゲットや予算にそった適切なメディアの選定は慎重に検討を重ねる必要があります。そのため、現地に精通するインバウンドプロモーション会社を利用するといいでしょう。
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ローカルメディアとのタイアップ
インフルエンサー
インフルエンサーを活用した施策は、従来の広告に比べユーザーからの信頼が高く好意的な情報として受け入れられやすい傾向があります。
近年、アドブロック(広告ブロック)の普及とともに、広告に対する嫌悪感から広告ブロックサービスを利用して、広告を意図的に非表示にするするユーザーも多いようです。日本でのアドブロックの使用率は17%ほどですが、ギリシャでは42%、アメリカでは27%、香港では20%のユーザーがアドブロッくを使用しています。(出典:Digital News Report)
しかし、インフルエンサーを起用して情報を拡散することで、広告嫌いなユーザーも情報を信頼性のあるものとして受け入れてくれる可能性が高まります。また、インスタグラムの投稿は広告ブロッカーの影響も受けることが無いので、より確実に情報を届けることができます。
これらの、インフルエンサーを活用したプロモーションはローカルメディアとのタイアップ同様に、インフルエンサーの選定が非常に重要です。適切ではないインフルエンサーを活用したプロモーションを実施してしまうと、ブランドのイメージを崩してしまう可能性があるので注意が必要です。
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インフルエンサーとのタイアップ
懸賞キャンペーン
サザンクロス ・プロモーションズ が運営するG’Day Japan!では、認知拡大、訪日の動機付けのためのプロモーションに最適な「G’Day Japan!懸賞キャンペーン」を実施しています。懸賞キャンペーンでは、懸賞商品を日本往復航空券や宿泊券などにすることで、話題性があり多くの注目を集めることができます。同時に、懸賞キャンペーン応募の過程でアンケート調査を実施し、市場データおよび独自の顧客データを収集することが可能です。
【G’DayJapan!懸賞キャンペーンサービス内容】
- 企画立案
- キャンペーンページの制作
- 自社メディア(G’Day Japan!ウェブサイト、ニュースレター、G’Day Japan!公式Facebook)を活用したプロモーション
- オーストラリアマーケットのオンライン広告
- オーストラリア政府への許可申請
- 懸賞商品(日本への往復航空券など)の手配
- 最終報告書の作成
- 懸賞キャンペーン実施と結果集計
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オーストラリアで効果的にプロモーションを行う方法
イベント出展
訪日インバウンドプロモーションを検討するにあたり、ターゲットとなる現地の人々と直に触れ合い、反応を得る機会は大変重要であり貴重です。「Face to Face」で直接顧客に情報発信・プロモーションできる方法のひとつとして、イベントや展示会への出展があげられます。
消費者が実際に足を運び、見て・聞いて・体験できるイベントは、大きなプロモーション効果が期待できます。特に訪日観光・インバウンド市場においては、消費者に日本の情報を届け、いかに興味喚起させるかが重要であり、イベント・展示会への出展は有効なプロモーション手法と言えるでしょう。
また、来場者に情報を発信するだけではなく、他の出展者との情報交換や取引先開拓など、様々な営業・宣伝活動が同時に実施できるのも魅力のひとつで>。
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事例(オーストラリア市場)
鳥取観光/ローカルメディア
オーストラリアの旅行総合メディア「Vacations & Travel」を活用し、鳥取県の知名度向上および誘客を目的としたプロモーションを実施しました。また、自社メディア「G’Day Japan!」ではウェブ記事への誘導及びニュースレター、SNSでの発信内容において推敲を重ね、鳥取県への来県意欲促進を図ました。「Vacations & Travel」へ出稿した記事は公開から約1ヶ月で、計16万以上のリーチ数を獲得しオーストラリア市場での認知度拡大につながりました。
サイクリングしまなみ2018/インフルエンサー
オーストラリア出身のプロサイクリスト、ティファニー・クロムウェル(Tiffany Cromwell)氏を「サイクリングしまなみ2018」に合わせ、愛媛のファムトリップ(FAMトリップ)に招聘。
オーストラリアで影響力のあるプロサイクリストをインフルエンサーとして起用することで、しまなみ海道の魅力を効果的にオーストラリア人に発信することができました。自身のインスタグラムのストーリーズでは平均いいね約1,000に達し、好意的な反応を得ることができました。
【掲載ページ】
https://tiffanycromwell.cc/global-wanderer/japan/the-cycling-shimanami-experience
片品村/懸賞キャンペーン
片品村の魅力をオーストラリア市場で最大限にアピールするためにも、懸賞キャンペーンという訴求力が強いプロモーションを実施しました。
【キャンペーン期間】
2018年9月3日~2018年12月3日
【懸賞内容】
Grand Prize(日本往復航空券、「岩鞍リゾートホテル」4泊宿泊券※朝食・夕食付き、リフト券 4日分)×ペア1組分
旅行博(シドニー)出展/イベント出展
シドニーで開催される、一般消費者向けの旅行博「World Travel Expo」(※)にてビジット・ジャパン(Visit Japan )ブースを出展しました。当日は、来場者に対しアンケートなどを実施し、多いに賑わいました。
※「World Travel Expo」は、オーストラリア最大手の旅行会社グループ、フライトセンターが主催する国内最大級の旅行博覧会です。毎年、世界各国の観光局や地方自治体、航空会社、鉄道、ホテルなど述べ150以上もの団体・企業が一堂に介し、最新の旅行情報を発信するとあって人気を博しています。
さいごに
サザンクロス ・プロモーションズ はオーストラリア市場に特化したプロモーション会社です。シドニーにオフィスを構え、オーストラリア市場への進出、プロモーションのサポートサービスを提供しています。詳しいサービス内容はこちらをご参照ください。